研究課題
本年度得られた成果は、以下の(1)-(5)のように要約できる。(1)CYP遺伝子プロモーター/エンハンサー領域の解析:魚類および両生類のCYP1ファミリーに属する遺伝子のプロモーター/エンハンサー領域の塩基配列を解析し、アリルハイドロカーボン受容体(AHR)が結合する特定配列が各遺伝子上流域に存在することがわかった。この配列の位置・数には種・遺伝子特異性が認められた。(2)CYP遺伝子のクローニング:カワウの肝臓cDNAライブラリーから、4種類のCYP2分子種(CYP2AC1・CYP2AF1・CYP2C45・CYP2J25)を同定した。さらにカワウ肝臓の各CYP2 mRNA発現量と化学物質蓄積濃度との関係を解析し、CYP2C45・CYP2J25の発現は有機フッ素化合物暴露により抑制されることを示唆した。(3)細胞内受容体と相互作用する化学物質の網羅的解析:水棲哺乳類のAHRおよびペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)を発現させたレポーター遺伝子アッセイ系を構築し、ダイオキシン類や有機フッ素系化合物による標的遺伝子転写活性化能について測定した。さらにこれら化学物質の立体構造と各物質の相対効力の関係を解析し、構造-活性相関を見出した。(4)CYPによる化学物質代謝能の解明と代謝経路・産物の網羅的解析:水棲哺乳類CYP1分子種を対象に、酵母によるCYPタンパク質発現系を構築した。本発現系を利用して、アルコキシレゾルフィンやエストロジェンを基質とした各CYP1分子種の代謝パラメーターを代謝産物毎に測定した。(5)細胞内受容体およびCYP以外の感受性規定因子の探索:マウス各系統の脾細胞をTCDD処理し、CYP1A1遺伝子発現量の用量依存性の系統差を調査した。その結果、AHRの遺伝子型は鈍感型であるにもかかわらず、CYP1A1発現誘導能が高いマウス系統が存在することを確認した。また、これらマウス系統のCYP1A1遺伝子の上流域には差が認められなかったことから、感受性差はAHRやCYP以外の要因が関与していると推察された。
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