研究課題/領域番号 |
21221007
|
研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
寺田 幸博 高知工業高等専門学校, 環境都市デザイン工学科, 教授 (30442479)
|
研究分担者 |
加藤 照之 東京大学, 地震研究所, 教授 (80134633)
永井 紀彦 (独)港湾空港技術研究所, 理事 (00359233)
越村 俊一 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50360847)
|
キーワード | GPS津波計 / 津波防災 / 波浪観測 / 潮汐観測 / 津波伝播シュミュレーション / チリ地震津波 / 気象援助局無線 / 海洋観測ステーション |
研究概要 |
室戸岬西方沖に設置しているGPS津波計実験機を運用し、波浪・津波・潮汐データをインターネットを用いてリアルタイムに配信するとともに、ミニFMと携帯サイトによって室戸市役所・高知県土木事務所・高知県漁協室戸岬へ海水温・流向流速・波浪などの日常的気象海象情報を発信した。この継続的観測では、2010年2月28日のチリ地震津波をリアルタイムに配信し、GPS津波計の高い観測精度とその機能を実証できた。このとき、津波伝播シュミュレーションを行い、到達時刻と波高について観測結果と比較してWEB公開をした。また、GPS津波計と計測原理を同じくする国交省港湾局のGPS波浪計が太平洋沿岸11カ所で捉えた津波は、岩手県南部沖での最初の観測から約1時間を経て足摺岬沖で観測されたことから、観測データに基づく津波予測再計算の現方式所要時間15分でも、遠地津波には効果があることが明らかとなった。なお、データ公開ページのこの日のアクセス件数は1万件を超え、本研究への期待の大きさを再確認した。 室戸岬沖100km沖合の水深は約2500mであり、この水深までの種々の水深におけるGPS津波計ブイの試設計を行った。この結果、高知県水産振興課がこの海域に展開している黒潮牧場ブイがその機能を有していることが明らかになり、今後の本研究における沖合実験機としての利用を申し込み、使用の了解を得た。また、沖合展開における長距離通信方式として気象援助局無線(400MHz帯,1W)を適用するため、八木アンテナの多素子化、スタック、空間・周波数ダイバーシティ、フィルタ・アンプの使用などを検討し、現有の室戸岬西方沖GPS津波計と50km離れた三宝山との通信実験で良好な結果を得た。 水中音響による海底地殻変動観測機器の基本部分を製作し、室戸岬西方沖GPS津波計に取り付けて音響受発信実験を行った。精密計測に大きい影響がある海水温計測は、当初の光ファイバーの精度不足に対応するため、CTD (Conductivity Temperature Depth profiler)を試用し、沖合GPS津波計への展開における適用性を確認した。
|