研究課題/領域番号 |
21222002
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
奥村 弘 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (60185551)
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研究分担者 |
市澤 哲 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (30251862)
平川 新 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (90142900)
矢田 俊文 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40200521)
多仁 照廣 敦賀短期大学, 地域総合科学科, 教授 (70197515)
今津 勝紀 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20269971)
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キーワード | 史料研究 / 地域歴史資料学 / 被災歴史資料保全論 / 被災歴史資料修復論 / 震災資料 / 水損史料 |
研究概要 |
今年度は、当初の計画では申請者及び分担者は2年間の基礎研究をもとに,新たな地域歴史資料学について中間的な試案の提示を行うための研究を進めることになっていた。しかしながら、昨年度末の2011年3月11日に発生した東日本大震災の発生をみて、「大規模自然災害時の史料保全論を基礎」とする本科研においては、この震災における史料保全活動をふまえたうえで、あらたな地域歴史資料学についての試案を出す必要があるという申請者・分担者間の共通認識を年度当初に得た。 そこで、本年度は本来福井で開催する予定だったフォーラム「水害時の総括と地域歴史資料学の中間提示」の予定を、急遽宮城開催に変更し、「東日本大震災における歴史資料保全活動をふまえた地域歴史資料学の中間提示をめざして」とし、東日本大震災の発生をふまえた新たな地域歴史資料学についての試案提示をめざすこととした。フォーラムでは被災各地(岩手・宮城・山形・福島・茨城・栄村)の資史料ネット関係者からの報告者も招き、東日本大震災における歴史資料保全活動の現状と課題について検討した。 地域歴史資料学研究会の成果としては、主催の研究会を3度開催し、また国際資料学研究所と共催で「チェルノブイリからの伝言-ヒト・放射能・資料-」を開催した。また、東日本大震災の被災地において、これまで科研で研究を行ってきた水損資料の応急処置法を生かし、NPO法人宮城歴史資料保全ネットワークなどの被災資料保全作業(水損した資料の洗浄作業)に支援を行った。そのほか、震災資料保全活動そのものを対象とした報道記事収集や過去の歴史的地震及びその対応に対する史料調査と分析、市民と協同した地域歴史資料の保全・活用実践事例の調査を行った。 3月に神戸で開催された総括研究会では、上記の研究活動をふまえてあらたな地域歴史資料学の中間提示について試案が申請者より示され、分担者による検討が加えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
東日本大震災の発生によって、この震災にかかわる現状と課題に対応する必要が生じた。フォーラムの開催日の変更などはあったものの、これまでの実践的な検討を踏まえて、東日本大震災の史料保全活動や関係諸機関との協力体制のあり方について基礎的な知見を得ることができた。また、それらの成果を現実の課題の克服のためにフィードバックすることができ、当初から懸念していた大規模災害に対応することができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は、今年度提示された中間的な試案について、現在も進行している東日本大震災にかかわる史料保全活動の動向を随時ふまえながら、さらに深めていく方向で研究を進めていく予定である。なお課題として、平成23年度フォーラムのテーマに予定されていた「水害時の総括」を、平成24年度に研究会を開催するなどして遂行していく予定である。
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