研究概要 |
本研究は2つの目的を持っている。第1に世界規模レベル、アジア規模レベルの3つの国際比較データを、同一対象者をターゲットとした面接パネル調査を通じて5年の間に順次取得し、この面での日本の貢献を果たすのみならず、他国では実現していない主要比較調査間の関連性を解析する。第2に、これら3つの調査を補完する形で、近年発展のめざましいソーシャル・ネットワーク調査をパネル調査に加え、合わせて4回の調査として、制度、文化、価値・ライフスタイル、信頼、ソーシャル・ネットワーク、社会・政治参加、民主主義に関するデータを複合的に同一パネルデータとして取得することである。本年度は、昨年度までの基盤研究(A)で実施した前波のABS(アジアン・バロメータ),CSES(選挙制度の効果の国際比較)の研究分析を進めつつ、今回の各比較調査のための準備を小規模なweb調査によるプリテストとして実施した。調査は2009年の衆院選前後に2調査、2010年2月の非選挙時に1調査(選挙系統調査のパネル調査)として実施し、複数の新しい調査項目の開発とABS調査票完成のための国際プリテストのデータ取得が行われた。ABS予備調査のNは1262、衆院選時の選挙系統調査のNは1778、後者の追跡調査として実施した非選挙時のパネル調査のNは1528であった。これらは来年度以後の研究にきわめて有用であり、とくにABS予備調査の分析はすでに調査票の改善に用いられている。本年度はさらに、各調査の国際会議で調査票の詰めを行う作業の一部を実施した。全ての作業は順調に進行している。
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