研究概要 |
2つの双生児コホート(児童コホート、青年コホートと略記)についてそれぞれ以下の研究を実施した。 【児童コホート】昨年度に引き続いて12,24,36,48ヵ月時の双生児への家庭訪問による個別認知・社会性調査、42,60ヵ月時の来校による認知・言語・社会性調査、36,60ヵ月時のNIRSによる脳機能と運動機能の側性に関する研究を、それぞれ実施した。生後一年の頭位の発達速度と社会性との関連が、遺伝要因では負の、環境要因では正の相関という逆方向の関連が見られること、児童期の問題行動と親のネガティヴな養育行動との因果関係が、子どもの多動性傾向が高い場合は(親の与える)環境により、また低い場合は(子ども自身の)遺伝によって媒介されていることなどが示された。またふたごのきょうだい関係では、単胎のきょうだいポジティヴな関係とネガティヴな関係が性の相関があることなどを見出した。また音声呈示下における聴覚野の神経活動と、コミュニケーションに関連が深い指差しの手の選択の左右差との関連性には、環境要因による寄与が大きいと推察された。 【青年コホート】昨年度実施した学習・教育的指標と社会経済的指標との関連におよぼす遺伝と環境の影響をあきらかにするための新規双生児調査から、教育達成に及ぼす所得の影響と遺伝と環境の割合を推定した。不一致一卵性のDNA発現量の差を調べるゲノム調査と同じく差のある一卵性のfMRI脳画像調査を実施するための倫理審査の承認を受けた。来校形式で約200組の双生児対象に、認知能力、行動経済学で用いられる意思決定(経済ゲーム)課題、パーソナリティの調査を実施した際、これらの調査を実施した。
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