研究課題/領域番号 |
21224001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
儀我 美一 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (70144110)
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研究分担者 |
石井 仁司 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70102887)
舟木 直久 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (60112174)
利根川 吉廣 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80296748)
山本 昌宏 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (50182647)
神保 秀一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80201565)
松井 伸也 北海道情報大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50219367)
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研究期間 (年度) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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キーワード | 非等方的曲率流方程式 / アイコナール方程式 / 粘性解 / ストークス半群 / 離散変分問題 / 雪結晶 / 特異曲率流方程式 / 距離空間 |
研究概要 |
本年度は結晶成長問題の非等方的曲率流方程式を中心に、流体力学の方程式をはじめ多くの拡散方程式の分野で成果をあげた。 (1) 特異非等方的曲率流方程式に対して、曲面がグラフの場合について、時間大域的な粘性解の構成に初めて成功した。20年近く未解決であった高次元問題についての最初の成功例となった。 (2) 雪結晶のように種結晶からただちに6角板状の結晶ができることを、特異曲率流方程式を用いたモデルにより、数学的厳密に示した。実際どんな凸な結晶の粒から出発してもすぐに多角形になることを示した。 (3) 非等方的曲率流方程式の解が離散変分問題の解で近似されることがわかっていたが、有界な曲面の場合しか扱えていなかった。これに対して非有界な曲面に対してもスキームを構築でき、またそれが真の解に収束することを厳密に証明することに成功した。 (4) ナヴィエ・ストークス方程式については、半空間や層状領域で接方向に減衰しない速度を初期値とする解の小さい初期値に対して時間大域的存在を示した。このほか、ストークス半群のL 無限大空間での解析性の結果を外部領域に拡張し、さらにレゾルベントを用いる証明も確立した。 (5) アイコナール方程式を一般の距離空間で考えた場合の粘性解理論を構築した。具体例としてネットワーク上の方程式や、無限次元空間における方程式、Wasserstain距離空間における方程式に適用できる。 このように (1) 新たな解の概念の定式化、(2) 解の挙動の解析、(3) 離散モデルと連続モデルの相互関係の解析、(4) 次元の効果の解析、といった本研究計画の目的に向かって着実に前進している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究目的にある、新たな解概念の定式化、解の挙動の解析、離散モデルと連続モデルの相互関係の解析、次元の効果の解析といった主要4テーマのどれについても、予想される進展があった。しかも、流体力学的な効果を解析しているうちに、数理流体力学の基本的作用素であるストークス半群について30年間未解決の難問の解決を契機にストークス方程式の解析に新展開を生むなど、当初予想していなかった進展があった。科学技術諸分野からの問題探索でも、一般距離空間上のアイコナール方程式の解析など、予想していなかった成果が上がった。
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今後の研究の推進方策 |
次のような学際的研究集会や国際会議を開催することにより、研究計画を推進していく。 (a) 表面・界面ダイナミクスの数理V(5月27日~29日)、VI(秋学期)(以上東京大学) (b) Pacific Rim Conference on Mathematics 2013(7月1日~7月5日)(札幌コンベンションセンター) (c) 発展方程式若手の会(8月27日~30日)
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