研究課題/領域番号 |
21224004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中畑 雅行 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (70192672)
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研究分担者 |
作田 誠 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (40178596)
石野 宏和 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (90323782)
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キーワード | 超新星 / ニュートリノ |
研究概要 |
反電子ニュートリノと陽子とが反応すると陽電子と中性子が生まれるため、これらを同時計測することができれば宇宙の初めから起こってきた超新星爆発からのニュートリノを観測することができる。このニュートリノは極めて強度が弱く、それを観測するためにはスーパーカミオカンデサイズの検出器が必要である。中性子を同時計測する具体的な方法としては、スーパーカミオカンデの純水に約0.1%のガドリニウムを溶かし、中性子がガドリニウムに捕獲される時に放出されるガンマ線を捉えることを考えている。そのため、純水にガドリニウム化合物を加えても水の透過率を悪くすることがないかなど、測定器に与える影響を調べる必要がある。また、現在の純水装置はすべてのイオンを取り除くシステムであるため、ガドリニウムを保存しながら、それ以外の不純物を取り除く水純化システムを構築する必要がある。本研究ではこうした目的のためにスーパーカミオカンデを模擬した試験用検出器を作り、実証試験を行っている。研究期間3年目の本年は、水循環システムの開発を中心に研究を行ってきた。ガドリニウムを0.1%溶かした溶液を作り循環システムを通して循環させ、どのようにすれば透過率を向上させることができるかを研究した。具体的にはウルトラフィルターとナノフィルターを通してガドリニウム水を循環させ、ウルトラフィルターを透過しナノフィルターで排除された水を保持し、ナノフィルター透過水を純水化処理することによって、ガドリニウムを保持したまま透過率を向上させることができた。光の透過率の指標として15mチェレンコフ光が走った場合に光電子増倍管で捉えられる光量を用いているが、この値が超純水の86%まで迫ることができた。また、この値を長期間保持するために使用するフィルターの予備洗浄方法も確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来ならば3年目に試験用タンクに光電子増倍管を取り付ける予定であったが、水の循環装置の開発に時間を要してしまい、増倍管取り付けが4年目にずれこんでしまっている。しかし、3年目に開発したガドリニウム循環方法を使えば、増倍管取り付け後すぐに試験を行うことができると考えられ、研究期間内に当初予定した研究をまとめることができる。
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今後の研究の推進方策 |
今までは15立方メートルのプラスチック製タンクにガドリニウム水を作り、水循環システムの開発を進めてきた。今後は、まず第1段階として200立方メートルのステンレスタンクにガドリニウム水を作り、ステンレスに対するガドリニウムの影響を研究する。その後、光電子増倍管をステンレスタンクに取り付け、ガドリニウム水を循環させ、スーパーカミオカンデを模擬した最終的な実証試験を行う。
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