研究課題/領域番号 |
21224004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中畑 雅行 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (70192672)
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研究分担者 |
作田 誠 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (40178596)
石野 宏和 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (90323782)
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研究期間 (年度) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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キーワード | 超新星 / ニュートリノ |
研究概要 |
宇宙の初めから起こってきた超新星爆発からの反電子ニュートリノを観測することが本研究の究極的な目的である。反電子ニュートリノは陽子と反応すると陽電子と中性子を生むため、これらを同時計測できれば反電子ニュートリノを検出することができる。具体的な方法としては、スーパーカミオカンデの純水に約0.1%のガドリニウムを溶かし、中性子がガドリニウムに捕獲される時に放出されるガンマ線を捉えることを考えており、そのため、純水にガドリニウム化合物を加えても水の透過率が極端に悪くならないこと、測定器を腐食させることがないことなどを確認する必要がある。本研究の目的は、試験用タンクを使ってこれらを調べることである。通常の純水装置はすべてのイオンを取り除くように設計されているが、ガドリニウムを溶かした水の場合には、ガドリニウムを保持しながら、水を純化しなければならない。本年度はこうした水循環システムの構築とそれを用いて循環試験を行い水の透過率を測定した。光の透過率の指標として15mチェレンコフ光が走った場合に光電子増倍管で捉えられる光量を用いており、それをLL15mと表記する。まずはプラスチック製の15トンタンクに0.1%のがガドリニウム溶液を作り、水を循環させた結果、LL15mとして70.2%という値が得られた。一方、超純水のLL15mは81.4%であり、これらを比較してガドリニウムによる影響は86.2%であった。この値は物理の大きな影響を与えるレベルではなく、許容できる範囲であると考えられる。本年度の後半には、200立方メートルのステンレス製タンクにガドリニウム溶液を作りつつ、循環させながらその透過率を測り始めた。徐々に濃度を増やしつつ透過率の測定を行っており、現時点では極端に透過率が悪くなるようなことは起きていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来ならば3年目に試験用タンクに光電子増倍管を取り付ける予定であったが、水の循環装置の開発に時間を要してしまい、増倍管取り付けが5年目にずれこんでしまっている。しかし、増倍管取り付け後すぐにガドリニウムの試験試験を行い、研究期間内に当初予定した研究をまとめることができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、200立方メートルのステンレスタンクにガドリニウム水を作り、ステンレスに対するガドリニウムの影響を研究している。その後、光電子増倍管をステンレスタンクに取り付け、ガドリニウム水を循環させ、スーパーカミオカンデを模擬した最終的な実証試験を行う。この実証試験の結果を踏まえて、観測感度を最もあげることができる条件(ガドリニウム濃度など)を決定する。
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