研究課題/領域番号 |
21224006
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鳥居 祥二 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90167536)
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研究分担者 |
田村 忠久 神奈川大学, 工学部, 准教授 (90271361)
吉田 健二 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (90260984)
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キーワード | 宇宙線 / 粒子測定技術 / 宇宙物理 / 素粒子物理 / X線γ線天文学 |
研究概要 |
本研究の目的は高エネルギー電子・陽電子(以下電子)の観測により宇宙線近傍加速源及び暗黒物質の探索を実施することである。このために、電子観測に最適化した検出器の開発により、気球及び国際宇宙ステーション(ISS)でTeV領域に及ぶ高エネルギー電子の観測を実施する。平成21年度は、研究実施計画に従ってISS搭載用のCALET(CALorimetric Electron Telescope)の気球搭載用プロトタイプ2号機(bCALET-2)を開発・製作して、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の北海道大樹航空宇宙実験場において観測実験を行った。気球飛翔は、8月27日に行われ高度35kmのレベルフライトで約2.5時間の観測を予定通りに実施した。この観測によって、1GeV以上のトリガーで約12,000イベントを取得している。 bCALET-2はCALETの約1/4のスケール(GF:320cm^2sr)であり、今回の実験の目的はCALETの技術実証を1-100GeVの電子観測によって行うことであった。そのため、装置はCALETとほぼ同じ構造のイメージングカロリメータ(IMC)と全吸収型カロリメータ(TASC)で構成されている。IMCは4096本のシンチファイバー(1mm角)を64アノードPMTで読み出し、TASCでは60本のBGOログ(2.5cm×2.5cm×30cm)を4ケタ以上のダイナミックレンジでPIN-PDで読みだしている。このような多チャンネル読み出し技術が気球実験で実証されたことの意義は非常に大きい。 データ解析は初期的段階を終了しており、電子選別の結果では、10GeV以上で電子が期待通りに観測されていることから、装置性能は実証できたと考えている。現在、さらに詳細なデータ解析を行うとともに、CALETの機能試験モデルとしてのbCALET-3の開発を実施している。
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