研究課題
中性子EDM測定のstate of the artはグルノーブルの実験であり、測定精度は統計誤差で決まっている。つまり、EDM測定容器内の超冷中性子(UCN)の数で決まっている。UCN数増大のため、第2世代UCN源を完成し、UCN生成用の35L He-IIの温度を目標の0.8K以下、つまり0.6Kにすることに成功した。このHe-II内で、スパレーション中性子源で発生した冷中性子をUCNに変換した。He-II容器からUCNを取出すアルミ箔窓に、超伝導コイルの3.5Tの磁場をかけ、磁気ポテンシャルでアルミの核ポテンシャルを相殺し、効率よくUCNを取出すことに成功した。磁気ポテンシャルは中性子スピンの方向に依存するので、取出し時、UCNスピンが偏極する。UCN偏極を測定するため、超伝導コイルの下流に、UCNスピンフリッパー、偏極解析器、そしてUCN検出器を接続した。UCN検出器で計測された偏極UCN数、そしてスピンフリッパーと偏極解析器で測定されたUCN偏極率は、EDM測定を開始する上で十分な値であった。EDM測定では、磁場の安定化と一様化が重要である。外部磁場を相殺するコイルと磁気遮蔽を完成させた。磁気遮蔽材はパーマロイであるが、アニールの後、時間が経つと極わずかではあるが、磁性が生じてしまう。磁気遮蔽にコイルを巻き消磁し、遮蔽内の磁場勾配を10nT/mにした。この値はGrenobleのEDM測定での値と同じである。これで、UCNスピンに対する横緩和時間がGrenobleと同程度になる。そして、相殺コイルの中では、外場の影響は1/10以下となることを確認した。また、電場をかけるための電極を完成させた。H26年5月、EDM測定を開始する予定である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physics Procedia
巻: 51 ページ: 89~92
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