研究課題
地震の準備と発生の詳細を震源の極至近距離で観察し、地震発生の物理をより深く理解したい。得られる知見を、地震発生のより正確な予測に生かしたい。このような試みを、自然の大地震を対象に地表付近から行うことは、技術的・時間的に非常に困難である。しかし、マグニチュード2程度の地震(約100mサイズの破壊)をターゲットとした場合、南アフリカ(以下南ア)の大深度金鉱山ならば、2~3年の間に極至近距離観測によって非常に貴重な知見を得ることができる。平成23年度は観測網構築期(3年目)、および、観測期(2年目)であった。断層に対する坑道配置が理想的な南アのモアプ・コツォン鉱山の地下約3kmにおいては、計画初年度(平成21年度)に具体化されたドリリング(計約30本;総延長1.4~1.5km)、および、計器の調達・開発・埋設の計画を進めた。断層帯のドリリングは困難で、遅れが続いたが、平成23年度末には、ドリリングの約9割が完了していた。しかし、採掘計画の遅れに伴い地震活動の活発化も遅れることがわかったため、予備サイト、イズルウィニ鉱山における観測を平成22年度(計画2年次)から始め、AE、歪計、広帯域地震計、断層透過波のデータを2年弱の期間、蓄積することができ、予備解析も始まった。破壊前線動的応力降下観測(断層上に高速応答高容量の歪・加速度計3~4組をアレイ配置)については、イズルウィニ鉱山については平成22年度から、ドリーフォンテイン鉱山においては平成23年度から、観測を行うことができた。
2: おおむね順調に進展している
当初計画の主実験サイト、モアプ・コツォン鉱山における観測網の構築は遅れているが、予備サイトのイズルウィニ鉱山とドリーフォンテイン鉱山に観測網を同時展開することによって、ほぼ当初計画時期からデータ取得を始めることができている。平成23年1月から始まった新燃岳噴火や、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震のために研究者の南ア渡航計画を一部変更せざるを得なかったがその影響は大きくない。
遅れているモアプ・コツォン鉱山の観測網構築を進めるとともに、2つの予備サイトでの観測を継続し、得られたデータについては解析を進める。各鉱山での採掘は遅れているため、地震活動のピークは当初計画通りに捉えることができると期待される。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 1件)
Proceedings of the sixth International Seminar on Deep and High Stress Mining
巻: - ページ: 173-187
Bulletin of the Seismological Society of America
巻: 101 ページ: 2399-2407
doi:10.1785/0120100346
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