研究課題/領域番号 |
21225004
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
侯 召民 独立行政法人理化学研究所, 侯有機金属化学研究室, 主任研究員 (10261158)
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キーワード | 希土類アルキル錯体 / イソプレン / スカンジウム / スチレン / ピリジン / C-H結合活性化 / ヒドリドクラスター / ヘキサジエン |
研究概要 |
本研究では、優れた物性や新機能を持つ高分子材料の合成や高効率な物質変換反応を目指して、希土類錯体の特異な性質を利用した高活性、高選択的な錯体触媒の開発を行っている。本年度は、まず様々な配位子を持つハーフサンドイッチ型スカンジウムジアルキル錯体を用いて、種々のモノマーの重合及び共重合を詳細に検討した。その結果、カチオン性ハーフサンドイッチ型スカンジウムアルキル触媒を使うことにより、スチレン、エチレン及びヘキサジエンまたはヘプタジエンの3元共重合に初めて成功し、シンジオタクチックスチレン鎖とシクロペンチルやシクロヘキシル構造を有する新しいタイプの3元共重合体が得られた。また、スチレン、イソプレン、ブタジエンモノマーそれぞれに対して高い立体選択性を示す2種類のスカンジウム触媒を組み合わせ、さらに2つの触媒間でポリマー成長鎖を自由に行き来させることができるチェーンシャトリング試剤を用いて、どのモノマーでも高度に立体制御された、シンジオタクチックポリスチレン、シス-1,4-ポリイソプレン、シス-1,4-ポリブタジエン構造を有する三元共重合体の合成に初めて成功した。さらに、カチオン性ハーフサンドイッチ型希土類アルキル触媒を用いることにより、オレフィンへのC-H結合付加反応を経由する効率的なピリジン化合物のオルト-アルキル化反応を達成し、原子効率に優れたアルキルピリジン化合物の合成法を開発した。 一方、イットリウム4核ヒドリドクラスターを用いて、モリブデンやタングステンなどのd-ブロック遷移金属と組み合わせ、異種多金属ヒドリドクラスターの合成に成功し、水素も含めた詳細な構造を中性子回折で明らかにした。また、この錯体は水素を吸着・放出する機能を有していることが明らかとなり、X線構造解析により水素の挙動を直接観察することにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
希土類アルキル触媒やそれらを組み合わせた触媒系を用いることにより、従来の触媒では合成することが困難な新規高分子材料の合成に成功した。また、希土類アルキル触媒を用いることによってC-H結合活性化を経由するピリジン類のオルト-アルキル化反応を開発した。さらに異種金属ヒドリドクラスターにおける特異な水素の挙動を明らかにした。これらは、従来の錯体では実現することが困難な反応であり、おおむね順調に研究が進展しているものと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
新しい構造を有する希土類錯体の合成とそれを用いる新反応の開拓を中心に、様々なカチオン性希土類アルキル錯体、複数の活性サイトを有する希土類または4族ポリヒドリド錯体、特異な基質協同活性化効果が期待できる希土類とd-ブロック遷移金属を合わせもつ異種多核金属ポリヒドリド錯体、などについて重点的に検討を行い、従来の触媒では実現困難な新しい物質変換反応やより高選択的・高効率的な重合/共重合反応、有機合成反応の開発を目指す。
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