研究分担者 |
田路 和幸 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (10175474)
高木 敏行 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20197065)
小野 崇人 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90282095)
胡 寧 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60250685)
大森 守 東北大学, 大学院・工学研究科, 技術補佐員 (30005954)
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研究概要 |
多層カーボンナノチューブ(MWCNT)/アルミナ複合材料の開発を目的として,Al(OH)_3を前駆体とし,放電プラズマ法を活用した焼結を行うことにより,アルミナ単味の強度,破壊靭性値を大きく超える複合材料の作製に成功した.混酸(H_2SO_4とHNO_3)によるMWCNTの表面修飾に関する検討を行い,均質分散を行うための最適の処理時間が存在することを示した.さらに,TEM観察により,複合材料の破断時にはMWCNTは完全に引き抜けるのではなく,最外層を含むチューブが破断していることを世界に先駆けて見出している.この観察結果は,さらなる破壊特性の向上のためにはMWCNTの破断を防止することが有効であることを示しており,複合化に関して重要な知見を提供している.また,複合材料の破壊過程の解明を行うために,分子動力学を用いた数値解析コードを開発し,MWCNTとマトリックスき裂との相互作用を調査するための基礎を構築している. さらに,実用的な複合化プロセスの開発を目指し,前駆体法と組合せた無加圧焼結法に関する研究を行った.還元雰囲気(Arと5% H_2の混合ガス)において焼結温度が1800℃の条件では,MWCNTが消失してしまうことを見出し,焼結温度の低減ならびに水環境を含めた雰囲気制御が本開発に極めて重要であることを示している.今後は,温度の低減を図るための添加元素の選択,ならびに真空条件下での焼結を重点的に実施する予定である.MWCNTにより複合化することで,摩擦係数をアルミナマトリックスに対して低減できることを示し(約0.6-0.7を約0.4へ),かつ作製した複合材料は良好な耐摩耗性も有することを見出している.交流インピーダンスを用いた複合材料の誘電率計測法を確立するとともに,生体材料創成のための射出成形法の関する検討を同時に展開している.
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