研究課題
マイクロ・ナノ基盤要素技術のシステム統合化を目指して、マイクロ・ナノ熱流体複合センシング技術および熱流動界面制御デバイスの開発研究を行う気体・液体界面熱流動制御デバイス開発を目指して、世界に先駆けて液体窒素下切削加工法の開発を行った。マイクロコンタクトプリント法により局所的に自己組織単分子膜を成膜し、表面エネルギ制御を可能とした。パターニング精度は、スタンプとインクの相互作用、スタンプの機械的特性およびスタンププロセスに依存する。上述の開発した手法によりデバイス内に安定した気体・液体界面を形成し、マイクロPIVおよびマイクロLIFを統合したマイクロ熱流動多変量センシング法を用いて、界面熱流動現象を明らかにした。液体・液体界面熱流動制御デバイス開発を目指して、世界に先駆けて液体・液体界面へのエバネッセント波照射技術を開発し、ナノPIVおよびナノLIFによる流動現象および界面形成メカニズム解明に成功した。電気浸透流による液体・液体界面流動現象を、ナノPIVを用いて実験的解明を行った。マイクロチャネル壁面と液体との界面に形成されるゼータ電位時空間分布がデバイス性能に直接的に影響を及ぼすため、フッ酸によるウェットエッチングおよび、NLDプラズマドライエッチングによる加工をホウケイ酸ガラス表面に施し、ゼータ電位変化の計測を行った。更に、液体窒素下切削加工法によるPDMS表面粗さとゼータ電位との関係を実験的に明らかにした。気体高透過性デバイス開発を目指して、ポリマー材料の気体透過・分離性評価、並びに実用化を目指した耐久性評価を行った。両者において材料の微細化技術は重要であり、前者においては特に表面性状を制御することが重要である。液体窒素下加工の加工条件を調節してPDMS基板に表面粗さの異なるチャネルを作製し、マイクロ熱流動多変量センシング法によって計測を行い、気体透過性制御が可能となった。
2: おおむね順調に進展している
異相界面熱流動現象の解明を可能となるセンシング技術および液体窒素下ナノ・マイクロ切削加工技術の開発がほぼ完了したと云える。加工方法と表面性状評価に関しては、ウェットエッチングおよびドライエッチングの比較を行うことが可能となった。ポリマー材料開発に関しては、緩やかではあるがポリマーの気体透過性と分離性の向上が可能となった。
高速度共焦点スキャナ導入により異相界面熱流体蛍光複合センシング技術を確立し、バルク熱流動現象の力学的および電気化学的相互干渉メカニズムの解明を行う。液体窒素下での超精密加工により作製したマイクロチャネル壁面表層は、材料の物理的特性と化学的特性が変化し、相互干渉を誘起する可能性がある。加工面のサブサーフェスダメージに関しては、ナノインデンテーション試験およびXPSによる非破壊試験を行う計画である。更に、界面制御デバイスを本手法で作製する際、気体透過性への影響およびゼータ電位に及ぼす影響を定量的に評価する必要がある。材料特性に変化が生じている場合、低侵襲で加工する手法の検討および加工面を修復する手法の開発が必要不可欠である。一方、加工方法によるガラス表面性状評価においては、今後機械加工を含めて評価を行う。機械加工においては、表面粗さとともに、ガラス表面近傍に残留応力を付与することが予想されており、ゼータ電位においても、ウェットエッチングとドライエッチングとは異なる特性を示す可能性を有する。マイクロコンタクトプリント法においては、最適プロセスを導出し、これを用いた表面性状制御、ならびに、局所的表面性状制御を生かした高機能デバイスの開発を行う。ポリマー材料開発に関しては、微細表面構築の手法はさらに広げて実施する必要性があり、例えば、近年報告された微細化技術を参考にしてSiOx膜を伸張下のポリマーにコーティングし微細表面起伏形状を導入することや、ショットピーニングなど他の表面処理技術をとりいれた表面形状構築を検討し、定量的に力学物性評価とガス透過性評価を進めていく。そして、最終年度に統合化計画法による異相界面熱流動デバイスの開発を試み、力学的、電気化学的、そして有機化学的観点に立脚したパラメータの抽出を行う予定である。
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