研究課題
磁性ナノ粒子の集合体では、ナノ粒子間に働く磁気双極子相互作用の影響によりバルクや磁気的に孤立した粒子とは大きく異なる磁気秩序を発現することが知られているが、その詳細な発現メカニズムはまだ明らかになっていない。このため、磁気双極子相互作用の強さを系統的に変化させた試料において磁気評価を行う必要があり、粒子を母材内に均一に分散し、かつ、粒子濃度を広範囲で制御する手法が必要となる。本年度、Feナノ粒子と非磁性体であるAuナノ粒子を同時に凝集させる"ナノ粒子共凝集法"を新たに考案し、Fe/Auナノ粒子集合体の作製を試みた。Fe/Auナノ粒子集合体の透過型電子顕微鏡を用いた断面観察像に対する組成分析の結果、Feナノ粒子は凝集することなく集合体全体にランダムに分散していることが分かった。結果として、本提案新規手法を用いてナノ粒子共凝集法を用いて平均粒径8.2nmのFeナノ粒子を0.5~43%の範囲で濃度調脚することが可能となった。Fe/Auナノ粒子集合体の5Kでの保磁力ならびに飽和磁化で規格化した残留磁化のFeナノ粒子濃度依存性から、Feナノ粒子濃度が10%を超える領域では、ナノ粒子の磁気モーメントが磁気的に強く連結し、連鎖的な磁気反転を誘起することによって優れた軟磁気特性が発現することが分かった。集合体の磁気特性は磁性ナノ粒子の本質的な磁気異方性と集合体化によってもたらされる磁気双極子相互作用の競合によって決定づけられることが明らかとなった。
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10.1021/jp911161g