研究課題/領域番号 |
21226007
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 研 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (70108471)
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研究分担者 |
小川 智之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50372305)
角田 匡清 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80250702)
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研究期間 (年度) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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キーワード | 窒化鉄 / 飽和磁化 / ナノ粒子 / 薄膜 |
研究概要 |
さらなる高特性化を念頭に、窒化鉄相に第三元素を添加した窒化鉄をナノ粒子化した際に、飽和磁化をはじめとする磁気物性値を厳密に評価することが重要となる。そのため、ナノ粒子との比較校正試料として窒化鉄を含む鉄基薄膜試料が重要となる。本年度では、超高真空スパッタ法を用いて、窒素濃度11at.%において結晶構造中の鉄原子サイトを第三元素で置換した窒化鉄薄膜の結晶構造と飽和磁化の相関を詳細に調べた。ここで、第三元素として、貴金属元素の白金を選択した。 窒素濃度および白金置換濃度を系統的に変化させた窒化鉄薄膜のX線回折結果から、α'相に起因する回折を観測し、同じ窒素濃度においても白金置換濃度の増加とともにα'相の安定性が低くなり、γ'相が生成されることが分かった。また、白金置換したα'相の格子定数aおよびcは無置換の場合とほぼ同様の変化を示すものの、白金置換によるc軸の伸張の効果は少なくなり、窒素濃度11at.%では、白金濃度によらずc軸長は一定の値となることが分かった。このような窒素濃度11at.%の白金置換した窒化鉄薄膜における1金属原子当たりの平均飽和磁気モーメントは、白金濃度の増加に伴ない2.3μBから2.0μB程度まで単調に減少することが分かった。これは、窒素侵入による磁気体積効果を通して発現する磁気モーメントの増大がα'相の形成能の低下によって抑制されているためと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでに、窒素濃度11at.%の所望相の窒化鉄ナノ粒子、および、窒化鉄薄膜を再現性高く合成する技術を獲得しており、磁気物性評価技術も併せて確立してきた。また、更なる高飽和磁化化を意図して、当初計画を前倒しして第三元素添加を中心とした新たな材料探査にも着手した。
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今後の研究の推進方策 |
従来計画通り、今後も窒化鉄ナノ粒子と窒化鉄薄膜の結晶構造、形態ならびに磁気物性に関する知見を系統的かつ詳細に蓄積し、構造と磁気物性の相関を総合的に議論し明らかにすることで、極限磁力を発現する可能性を探索する。
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