研究課題
大容量テラヘルツ無線通信のキーデバイス開拓のため、昨年度に引き続き、テラヘルツ発振デバイスの高周波化や高出力化などの高性能化を行うとともに、大容量信号伝送のための直接変調の周波数特性把握および変調デバイスについての基礎的研究を行った。テラヘルツ発振デバイスについては、まず高周波化について、極薄バリアと傾斜エミッタの導入により、電子走行時間を短縮したGalnAs/AIAs共鳴トンネルダイオード(RTD)を用いて、単体の室温電子デバイスでは初めてのテラヘルツ発振となる1.04THzの基本波登振を達成した。高出力化については、オフセソトスロットアンテナ構造により、550GHzにおいて42μWの出力を得た。また、RTDのバイアス電圧による直接変調周波数ヒ限がスロットアンテナ端部の金属/絶縁体積層キャパシタンスで決まることを理論と実験から見出し、10GHz以上の変調が可能な構造を明らかにした。共振器内部のスロットアンテナ溝への光信号照射によりTHz波強度変調が可能なことも実験により見出した。一方、外部での変調法として、伝搬してきたTHz波をプラズモン導波路構造によりで2μm程度の幅に集光し、GalnAs層を上部に形成することにより、そこでの光キャリアの発生の有無でTHz波の閉じ込め率を制御できることを計算により見出した。ヘテロ接合バイポーラトランジスタとしては、エミッタ電極とコレクタ電極を同じ340nm幅で形成したヘテロ接合バイポーラトランジスタをシリコン基板上に作製し、遮断周波数500GHzが測定された。また絶縁ゲート型ホットエレクトロントランジスタでは、メサ幅15nmの素子で7MA/Cm^2という大電流密度を確認した。
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