研究概要 |
(1)要素研究-1 し尿処理:低コストコンポストトイレ(手動撹拌,無加温型コンポストトイレ)について,反応槽そのものを回転させる形の試作と連続運転を実施し,有機物分解特性,大腸菌数,撹拌必要トルクの測定を実施した.その結果,本試作機の妥当性が確認された.尿の濃縮法のうち,布に毛管力により尿を供給し,換気条件下での水分を蒸発させる方法について,特性の実験的評価とモデル化を実施した.水分蒸発を含めた水分移動モデルを構築し,物質移動係数について無次元実験式を得た.また,モデルを用いた,装置設計法を提案した.尿中窒素を緩効性肥料として回収する方法を考案し,特許の申請を行った.リンについては,回収結晶の構造同定を行った.医薬品の電解酸化特性については,電極枚数と分解速度の関係を測定した. (2)要素研究-2 雑排水処理再利用技術:流量調整槽を設けず,かつ,ポンプを用いない膜分離型生物反応層の処理特性を検討し,界面活性剤を含め,所定の処理水質が得られること,膜ファウリング特性が通常の流量一定操作と同じであることが確認された. (3)要素研究-3 微量汚染物質モニタリング:Hsp90・を指標とした評価系が汚染物質におけるストレス反応生の評価を行った.その結果,グラム陰性菌有来の毒性物質であるLPS,及び重金属であるPb、Niに有意に反応することを見出した.さらに,Caco-2細胞,HEK293細胞においてHsp47,Hsp90・のプロモーターを用いたレポーターベクターを安定に染色体内に導入した遺伝子導入細胞の作製も行った. (4)要素研究-4 衛生学的管理手法:コンポスト型トイレの担体中での病原細菌およびウイルスの損傷部位を把握することによって,より致命的な損傷を与える運転条件を検討した結果,(1)大腸菌は低含水率条件,および高pH条件(pH9.6以上)では,核酸や必須代謝機能の損傷といった致命的な損傷を受ける,(2)大腸菌ファージQβはカプシド損傷が主な機構であることが明らかとなった. (5)実証実験:途上国スラムモデル:インドネシアにおいて,コンポスト型トイレを試作し,運転を開始した.途上国農村モデル:農家における物質,value chainを調査し,適切なサニテーションシステムとその周辺システムの関係を明らかにした.
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