研究課題/領域番号 |
21226013
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
船水 尚行 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10113622)
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研究分担者 |
高橋 正宏 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80355932)
大瀧 雅寛 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 教授 (70272367)
礒田 博子 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (00375429)
牛島 健 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20586721)
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研究期間 (年度) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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キーワード | 水と衛生 / 排水分離処理 / 分散型 / 水循環 / 国際貢献 |
研究概要 |
(1)要素研究-1 し尿処理:尿中窒素から緩効性肥料を作成する研究では,反応条件の最適化(化学量論比,尿濃縮)と肥料作成過程における医薬品の挙動を測定した.リン回収では,尿中リン酸濃度と結晶成長の関係を実験的に検討した.その結果,2倍希釈程度までなら結晶化が可能であった. (2)要素研究-2 雑排水処理再利用技術:処理装置の必要長さを処理水の作物成長阻害性から求めることが可能となり,処理水LAS濃度目標値を得た.高速沈降性藻類池では藻類集積に必要なSRT値を得た. (3)要素研究-3 微量汚染物質モニタリング:バイオマーカー(HSP70,HSP71,HSP60,GRB68)を網羅的に再利用水に適用し,重金属濃度との相関が高いことを確認した.またLASに対するバイオマーカーの探索を行った結果①細胞周期を介した細胞増殖調整に関わるタンパク質②ペプチド内部加水分解酵素として子宮がんなどの発生に関わるタンパク質③細胞周期を介したがん細胞増殖抑制に関わるタンパク質を得た. (4)要素研究-4 衛生学的管理手法:保存した尿中のアンモニアによるウイルスの不活化効果及び不活化機構の解明について検討した.その結果,(1)NH3(aq)濃度が高いほどウイルスの不活化速度は速い(2)不活化効果は核酸種によって大きく異なり,特にssRNAウイルスは不活化速度が速かった(4)損傷としては核酸複製機能の損傷が考えられた.また,高温,低含水率,石灰投入の各処理がコンポスト肥料に与える影響を検討し次の結果を得た(1)低含水率での保持,石灰投入は肥料価値を下げた(2)高温での保持は影響が見られなかった. (5)実証実験:途上国スラムモデル:インドネシアにおいて,コンポスト型トイレを試作し,運転を継続した.途上国農村モデル:農家における物質,value chainを測定結果から,導入のビジネスモデルを提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
要素技術の合理的設計法,モニタリング基盤の確立に関して,当初目標としてきた様々の知見を既に得ることができてきている.すなわち,要素技術の組み合わせとモニタリング法によるシステム化の段階に達している.また,提唱しているモデルの実装にむけた導入戦略の検討の過程から,システム理念の体系化に知見を得ている.
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今後の研究の推進方策 |
要素技術について: これまで検討した,糞便,尿,雑排水からの資源回収技術のシステム化のための方策を明らかにする.微量汚染物質のモニタリング:これまでに得られたバイオマーカーを細胞種、汚染源、バイオマーカー種による分類を行い、環境リスク評価に対するバイオマーカーのデータベース構築を行う.衛生指標については,ヒトへの健康影響と作物への影響の両面から評価できるように総合化を行う. 実証実験: 引き続き継続し,システム理念の体系化を踏まえ,具体の導入戦略提案を目指す.
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