研究分担者 |
金野 泰幸 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (50214482)
津田 大 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (80217322)
小林 覚 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60455847)
西村 六郎 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90110634)
吉田 光彦 仙台高等専門学校, 特任教授 (40042254)
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研究概要 |
昨年度に引き続き,Ni_3Al/Ni_3V 2重複相合金(Ni基超々合金)に関して,(1)合金元素の添加によるLl_2(Ni_3Al),D0_<22>(Ni_3V),Al(fcc Ni固溶体)の各相の相安定性を状態図に基づいて調査した。その結果,Ni-A1-V3元系へのTaの添加は,Ti,Nb添加の場合と同様に規則相を安定化し,共析反応温度の上昇(耐熱性向上)に有効な元素であることがわかった。また,これら3相間の相安定性に及ぼす合金元素添加の効果は相互作用パラメータと価電子濃度の観点から説明できることを明らかにした。一方,(2)Ni基超々合金単結晶の圧縮変形後のTEM観察からは,(i)室温での変形は,初析Ll_2相では転位によるすべりが,チャンネル部のD0_<22>相ではmicro twinningが支配的な変形機構である,(ii)初析Ll_2相およびチャンネル部のD0_<22>相界面は転位の運動に対して障害として働く,(iii)ピーク温度(873K)での変形は,初析Ll_2相の転位対およびそれに付随する積層欠陥が支配的である,(iv)Ni基超々合金の優れた強度特性は,主としてD0_<22>相の加工硬化および初析Ll_2とチャンネル部のDO22界面による界面強化に起因する,などの知見が得られた。(3)Ni基超々合金のミクロ合金化に関しては,TiまたはNbを含むNi基超々合金に単体C(炭素)添加の効果を調べ,(1)Ni基超々合金中への炭素の固溶限は非常に小さい,(ii)炭素添加によるVの炭化物への取り込みにより組織中のV量が減少し,2重複相組織の中の初析Ll_2相とチャンネル部の体積割合が変化し硬さの低下が生じる,(iii)炭素添加量が0.5at.%以上に増加すると引張伸びが大きく向上する。この延性改善効果は特にNbを含む合金で顕著となることが判明した。(4)Ni基超々合金の用途展開では,TaおよびReを添加したNi基超々合金製ツールを用いてフェライト系ステンレス鋼薄板の突き合わせ摩擦攪拌接合(FSW)を行った。その結果,積算接合長さにして20mの接合行ってもツールはほとんど摩耗せず,また,被接合材(ワーク)の接合状態も良好であった。
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