「メゾプラズマエピタキシーの体系化」 ・エピタキシャル成長条件での励起水素原子;H(n=2)の絶対密度をCRDS法によりその場計測し、超高密度;10E11cm-3を得、その要因としてAr+とH2が関与する解離性再結合機構が主であることを明らかにした。更に、堆積収率が投入H2流量ではなく堆積位置近傍におけるH(n=2)の局所密度と線形の相関を示すことから、Cl系化学種が反応活性の高いH(n=2)によるHClの生成促進により、Siの塩化反応が阻止され高堆積収率が得られるとのモデルを提示した。 ・基板移送速度20mm/sにて40mm×80mm基板全面に100nm/s以上でエピタキシャル膜堆積が可能であり、ホール移動度も固定基板時と同程度を維持することを確認した。結果として、ICP型メゾプラズマにおいても基板温度制御によりエッジ効果は抑制され、高速・大面積エピタキシャル堆積も可能となるとの基本指針を得た。 ・MD計算により、SiとHの高温混合気相からH原子を内包する液体様Siナノクラスター形成が再現された。また、相対的に高いポテンシャルエネルギーを有するH原子は、クラスターの基板衝突時に外部に移動しラジカルとして離脱することにより、クラスター構成Si原子の自己整合化が容易となるとの機構が示唆された。 「メゾプラズマLEOの成長制御と技術指針」 ・SiO2マスクの膜厚に依存する超高速横方向エピタキシャルオーバー成長(LEO)の基本的な成長機構が、負性Siナノクラスターの荷電SiO2膜上での分解、Si原子の表面拡散と滞在寿命を考慮した拡散成長モデルで説明される事や、マスク界面に起点する欠陥の影響を受けたLEO膜の電気特性はプラズマ条件により改善しうる事を確認した。不均質核形成とプラズマエッチングの競合現象は、高速且つ大面積のLEO実現に向けて検討すべき主たる課題である事を明らかにした。
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