研究分担者 |
山本 悟 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (90192799)
大林 茂 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (80183028)
小林 広明 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 教授 (40205480)
山本 一臣 (独)宇宙航空研究開発機構, 航空プログラムグループ, 主幹研究員 (80358465)
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研究概要 |
次世代CFDアルゴリズムとしてBuilding-Cube法の開発を進めた.非圧縮性流体用に新たにコロケート格子のソルバーを開発し,且つ物体壁境界の精度を高めるための埋没壁境界条件および壁関数を導入することで,航空機の脚からの空力音解析には大きな精度改善の結果を得ている.圧縮性流体ソルバーでも埋没壁境界条件を導入し,直交格子によるEuler方程式計算を可能にして航空機の空力設計への応用を進めるとともに,移動壁のための埋没壁境界法を開発して,翼のフラッター解析では従来のソルバーに比べ大幅な計算時間を短縮してBuilding-Cube法の優位性を示した.また,既存の非構造格子ソルバー等と組み合わせるアプローチにより高レイノルズ数流れのレイノルズ平均ナビエ・ストークス計算で精度と実用性を確認し,ヘリコプターのような複雑物体への適用を進めた. Building-Cube法による線形化Euler方程式のソルバーも開発し,埋没壁境界条件や領域境界での高次情報交換法等の導入で複雑形状周りの音場解析を可能にした.これは,低騒音航空機開発のための実用的なツールとして大いに期待できる. Building-Cube法の前処理では,格子生成プログラムでユーザーインターフェース改善や高速化を進めて実用性を高めた.後処理としての大規模データ圧縮法でも,アルゴリズム改良により30倍近くの圧縮率を達成し,今後の大規模計算に重要な手段となりうることを示した. 次世代CFDの応用拡大として,任意物質や超臨界流体への適用や航空機以外の分野への応用検討を進めた.高性能計算機の高度利用方法についても,並列化のためのデータ構造およびアルゴリズム検討,GPUの活用,あるいは今後の計算機アーキテクチャと計算アルゴリズムとの密な連携による次世代CFD構築に対しての重要な知見が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
埋没壁境界条件の導入で境界精度を確保したが,高レイルノズ数流れでは境界層の解像も必要である.そのための壁関数や乱流モデルの導入と検証を進め,実用的且つ汎用的な流体ソルバーの構築を加速する.また,これまでの開発ソルバーの応用として,航空機等の空力最適化や空力騒音解析等を研究グループで進め研究成果の実証を進める. 次世代CFDとして大規模計算の実用化については,計算機アーキテクチャを見据えた並列化等の研究を進める.
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