研究課題
等価速度分光法は、電子線パルス波面を回転し、物質中の電子線と分析光の速度差による時間分解能劣化の問題を解決して、パルスラジオリシスの時間分解能を向上させるものである。今年度は、電子線パルスの波而制御方法の確立と等価速度分光法パルスラジオリシスの構築の共に、パルスラジオリシスの測定波長拡張を行った。1. 電子線パルスの波面制御電子線が発生するチェレンコフ光をイメージ転送しストリークカメラで測定することにより、フェムト秒電子線パルスの回転角度の測定方法を確立した。当初Deflecting空洞により電子線パルスを回転する計画であったが、電子ビームサイズを30μm以下にする必要があり、空間電荷効果により電子線パルスが広がることが判明した。そこで、加速管中の加速位相制御により、電子線パルス回転角を0~60°の範囲で制御することに成功した。しかし、従来の四極電磁石からなる磁気パルス圧縮器では波面回転時にパルス圧縮が困難であることも判明した。これらの問題を解決するために、マルチ遅延レーザーパルスにより角度付き電子線パルスを生成し、ビームラインに設置した高精度磁気パルス圧縮器を用いた電子線パルス波面制御技術を新たに考案し、その準備が整った。2. 等価速度分光法パルスラジオリシスの構築と評価加速位相制御法により回転した電子線パルスと分析光パルスを、サンプルに入射した時、電子線パルス波面を回転した場合に時間分解能が1cmセルを使用した場合に4psの向上に成功した。等価速度分光法パルスラジオリシスによる、時間分解能向上の有効性を実証した。3. フェムト秒パルスラジオリシスの測定波長拡張パルスラジオリシスは物質中での活性種挙動の測定装置であり、多様な物質、様々な活性種を測定するために、測定波長領域を広く拡張した。波長可変レーザーの安定化、測定システムの多波長化により、415-1380nmまで測定可能とした。
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http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/bsn/Project-S/project-j.html