研究課題
平成25年度は、パルス電子ビームの発生・計測手法の最適化により、アト秒に迫る最短で約1 fsパルス幅の超短パルス電子ビーム発生に成功した。また、パルスラジオリシスシステムの安定化により、従来の1/10以下の強度(1 mO.D.以下)の過渡吸収が観測可能となった。さらに、紫外-赤外フェムト秒パルスラジオリシスにより、量子ビーム初期過程を明らかにした。以下に詳細を示す。1. 1フェムト秒電子ビーム発生:フェムト秒レーザーにより電子銃でフェムト秒電子パルスを発生し、加速位相と磁気パルス圧縮器の最適化を行った。同時に、従来よりも短パルス電子ビームが計測できるように、テラヘルツ自己相関法の改造を行った。その結果、最短1 fsの超短パルス電子ビームの発生・計測に成功した。2. パルスラジオリシスシステムの安定化と測定手法の高度化:これまでに導入したレーザー安定化装置、分析光輸送・光検出器配置、測定における統計処理等の最適化により、従来よりも10倍のS/N比の改善に成功した。また、この安定化により、今後のアト秒パルスラジオリシス実現のための重要な技術を確立した。3. フェムト秒パルスラジオリシスによる量子ビーム初期過程の研究:昨年度までの紫外-赤外分析光の拡張(波長:240-1600 nm)および本年度のシステムの安定化により、フェムト秒時間領域の凝縮相における量子ビーム初期過程を明らかにすることが可能となった。本システムにより、核燃料再処理における溶媒の放射線分解プロセスに関与するアルキルラジカル、放射線治療において重要な活性種であるける水中の溶媒和電子およびその前駆体の時間発展、次世代ナノファブリケーションでのスループットに寄与するレジスト材料の放射線分解過程等、種々の物質における量子ビーム初期過程を明らかにし、放射線化学における新たな知見を得た。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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