Nanos2の上流シグナル及び下流遺伝子候補を解析するために、1)マイクロアレイを用いた遺伝子解析及び2)器官培養によるシグナル解析を行った。 まず1)のアレイ解析によりE12.5-13.5の雄の生殖細胞特異的な遺伝子を多数同定した。そのうちすでに遺伝子ノックアウトマウスが存在する遺伝子に関してはマウスを導入し生殖細胞特異的な遺伝子ノックアウトの作成を開始した。また機能未知な遺伝子に関しては、変異体マウス作成に取り掛かっている。一方、雌にNanos2を強制発現して遺伝子発現を解析した。この結果下流遺伝子候補もかなり有力遺伝子が絞り込まれてきている。これらの候補遺伝子に関しても機能解析にむけた遺伝子ノックアウトマウス作成に着手している。 2)器官培養系を確立し、主に阻害剤を用いて生殖細胞の分化に関わるシグナル系を探索した。その結果、TGFb系のシグナルがFGFシグナルの下流で機能し、雄性生殖細胞の分化に重要であることが明らかになった。また生後の生殖幹細胞の維持に関わるNanos2の機能解析に関しても進展がみられた。Nanos2をGFRa1不在化で強制発現して、生殖幹細胞の運命を追跡したその結果、Nanos2はGDNF非依存的に精子幹細胞の分化を抑制する機能があることが、明らかになった。しかしNanso2は、生殖幹細胞の分裂を抑制する機能もあるため、結果として、生殖細胞の欠損につながることも明らかになった。
|