研究課題/領域番号 |
21227008
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
相賀 裕美子 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (50221271)
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キーワード | 生殖細胞 / 性分化 / Nanos2 / 精子形成 / GDNF / セルトリ細胞 |
研究概要 |
Nanos2の上流に関して、器官培養とconditional-KOマウスの解析から、Nanos2の上流にTGFbシグナルであるNodalが機能していることが明らかになった。しかしNodalを条件付きにノックアウトした結果、確かにNanos2の発現は抑制されたが必ずしもすべてのSmadシグナルは抑制できていなかった。そこでこのTgfbシグナル経路に関する情報を得るため、Smad4の条件付き変異体をアメリカから導入し、解析を行った。Rosa26-CreERT2と交配し、タモキシフェンをE10.5に投与し、雄の生殖巣でSmad4をE11.5日以降にノックアウトしE14.5に解析した。その結果、確かにNanos2の発現は抑制されるが、その効果は不完全であり、また減数分裂の誘導も非常に効率が悪いことが判明した。このことから、Nodal/ActivinシグナルはSmd4以外の経路で機能している可能性が示唆された。これまで他のグループからFGF9が直接雄性生殖細胞の性分化を誘導する因子であるとの報告がされていたが、我々の器官培養実験は、FGF存在下でもTGFbを阻害すると性分化はおこらないこと、またFGFの阻害剤存在下でTGFbを添加すると性分化が誘導されることを示しており、よって、FGFの下流でTGFbが機能して生殖細胞の雄性分化を誘導すると結論づけた。 Nanos2の作用機構の解析に関しては、Nanos2と相互作用する因子を同定しつつある。少なくともDnd1はNanos2と直接結合することを見出し、その条件付きノックアウトマウスを作成した。現在精力的にマウスの交配をおこなっており、来年度には機能解析の結果が得られる予定である。またNanos2の標的RNAに関しても候補遺伝子の絞り込みは終了しており、それらの機能解析のためにトランスジェニックマウスやノックアウトマウスを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスの作成など苦労したが軌道にのっている。
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今後の研究の推進方策 |
特に計画の変更はなく、目的遂行を目指して、必要に応じて臨機応変に対応していく。
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