研究課題/領域番号 |
21228003
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉田 稔 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 主任研究員 (80191617)
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研究分担者 |
中川 真一 独立行政法人理化学研究所, 中川独立主幹研究ユニット, ユニットリーダー(独立主幹研究員) (50324679)
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キーワード | スプライシング / イントロン / 転写 / 核-細胞質間輸送 / 非コードRNA |
研究概要 |
抗癌剤候補化合物として発見されたFR901464を改変して作成した安定誘導体SpliceostatinA(SSA)は、スプライシング因子複合体SF3bに結合してスプライシング反応を阻害し、その結果pre-mRNAからタンパク質が合成され、イントロンの配列の翻訳を引き起こす。スプライシング反応の小分子阻害剤自体、世界初の発見であり、これを用いて反応の詳細やイントロンの持つ機能が解明できる可能性がある。そこでSSAを用い、スプライシングが非コードRNAやクロマチン構造を介したエピジェネティックな遺伝子発現調節などのゲノム機能にどのように関与するかを明らかにすることを通じてスプライシング因子とイントロンの新しい機能を解明することを目指す。本年度は、SSA処理によって発現が変化する遺伝子をDNAマイクロアレイによって解析した。その結果、全体の約2割の遺伝子で発現レベルが顕著に低下し、スプライシングも阻害されたが、全体の約1%の遺伝子は逆に発現レベルが上昇し、スプライシングの阻害も見られなかった。さらに発現低下が見られる遺伝子の一つとしてVEGFを見いだしたので、血管新生におけるSSAの作用を検討したところ、HUVEC細胞の管腔形成、ニワトリ胚奨尿膜の血管新生が抑えられた。この効果はVEGFの添加によって解除されたことから、SSAにはVEGFの発現阻害による強い血管新生阻害作用があることが示された。また、SSAのクロマチンへの作用を生細胞で解析するため、蛍光エネルギー移動を利用した新しいヒストンアセチル化検出プローブの作製を行った。
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