研究課題/領域番号 |
21229003
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡村 康司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80201987)
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研究分担者 |
筒井 秀和 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30392038)
大河内 善史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90435818)
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
藤原 祐一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20532980)
吉田 学 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60301785)
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キーワード | 生体膜 / チャネル / トランスポーター / 能動輸送 |
研究概要 |
(1) 膜電位シグナル複合体の解明:VSOP1の様々な変異体について電気生理学的解析とCDスペクトル解析をおこない、コイルドコイルとS4が一続きのへリックスを形成することが示された(Fujiwara et al, Nat Communi, 2012)。VSPのホスファターゼのin vitroの計測からイノシトール環3’のリン酸を脱リン酸化する活性があることを明らかにした(Kurokawa et al, PNAS, 2012)。VSOP1とNADPHオキシダーゼの相互作用は強い物理的な結合を介さないと考えられた。 (2) 膜電位プローブの改良と応用:Ci-VSPのN末端側に蛍光蛋白を融合させると膜電位依存的蛍光強度の変化が見られ、C末端側だけでなく、N末端側にも構造変化が生じることが示唆された。N末端側とC末端側に異なる蛍光波長特性の蛍光蛋白を融合させたキメラ蛋白を作成しアフリカツメガエル卵母細胞に発現させ、これまでのMermaidよりも速い時間分解能で蛍光信号を得ることに成功した。 (3) 遺伝子改変マウスの確立と解析: VSPノックインマウスにおいて抗GFP抗体を用いて発現様式を解析し、神経系での発現は認められずまた正常マウスと比較して運動や行動などでの明確な差は見られないことから、VSPはマウスの神経系では発現していない可能性が示された。 (4) 精子に発現する電位センサー蛋白とその生理機能の解析:カタユウレイボヤからCatSperのオルソログ分子のcDNA3種類をクローニングした。 また、構造機能連関のデータを整理する過程で、あるキメラ蛋白が正常の蛋白よりも安定に2量体を形成した。この蛋白について構想生物学的解析を行うことを目指し、可溶化条件の検討を行い、全長蛋白の精製を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの計画が順調に実施され、VSOP1とVSPに関する膜電位シグナル複合体の分子動作原理の解明、膜電位プローブの時間分解能の向上、VSPノックインマウスなど遺伝子改変マウスの確立のそれぞれの局面において大きな進展が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
膜電位シグナル複合体の動作原理については、構造生物学を用いて更に詳細な機構を明らかにすることが急務となっており、次年度から構造生物学分野の専門家に参画してもらい、X線結晶構造解析を推進していく。膜電位プローブの改変を更に進め、実際の組織において膜電位変化の計測を進めていく。
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