研究概要 |
CCR4-NOTデアデニレース複合体について遺伝子改変マウスの作成と蛋白質の構造機能解析を進めた。 (1)Cnot1,2,6,10遺伝子欠損マウスの作製を完了し、Cnot1,2,10欠損が胎生致死を誘導すること、つまりこれら遺伝子が発生過程で重要であることを明らかにした。Cnot6欠損マウスは正常に発生し、生後にも顕著な異常はしめさなかった。Cnot1, 3, 8それぞれを肝特異的に、またCnot3を脂肪組織特異的に欠損するマウスを、それらのヘテロ欠損マウスと適当なCreマウスと交配して作成した。AP2-Creマウスとの交配で得られるマウスは出生直後に死亡するが、adiponectin-Creとの交配で得られるマウスは見かけ上正常であった。Cnot1, 3, 8の組織特異的欠損マウスの作成を開始した。 (2)CNOT6L欠損マウス肝臓ではCyp2b10等のmRNA発現が特に高脂肪食時に亢進していた。また高脂肪食時にCCR4-NOTの標的候補mRNAの半減期がCNOT6L欠損で長いことを示すと共にそれらmRNA (acat1等)の3’UTRとCCR4-NOTとの相互作用をLuc reporter assayで示した。Cnot3ヘテロ欠損マウス白色脂肪組織(WAT)で、acetylCoA carboxylase 2 mRNAの発現が更新し、WATでのCCR4-NOTの標的となっている可能性が指摘された。 (3)CNOT7蛋白質とoligo(dA)の共結晶構造を解いた。 (4)Tobの発現をON-OFFしてTNFαmRNAの局在を調べることで、Tobが、mRNA代謝に関わるStress GranuleやP-bodyの形成制御に関わっていることを示唆する結果を得た。 (5)CCR4-NOTの構造生物学的解析に向けて、すべての複合体成分について大腸菌や昆虫細胞での発現系を確立した。
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