研究概要 |
今年度は以下を推進した。 1.これまでにCCR4-NOT複合体構成サブユニット遺伝子ついて欠損マウスを作成・解析し、脱アデニル化活性サブユニットCNOT6, 6L, 7を欠損すマウスは産まれてくるが、CNOT3,CNOT8,CNOT9,CNOT10各サブユニットのヌル欠損マウスについてそれぞれE6.5, E9.5, E10.5, E8.5-E10.5で胚死することを示した。今年度はCNOT1欠損マウスとCNOT2欠損マウスが、それぞれE6.5, E18.5近傍で胚死することを示した(未発表)。 2.CNOT1を後期胚肝臓でAlb-Creトランスジェニックマウスを利用して条件的に欠損させ、出生後の発達が遅延することと、肝炎様の症状を発症することを示した。それらマウスの肝臓では、胎児性AFP遺伝子や、細胞周期制御因子の遺伝子発現が増大していた。また CNOT1をAdQ-Creトランスジェニックマウスを利用して脂肪組織で特異的に欠損させた場合は脂肪萎縮症様の症状を示し、発熱能力が低下していた(未発表)。 3.CNOT6ヌル欠損マウスは見か上正常であるが、高脂肪食依存的肥満には抵抗性である事が分かった。その原因を探る中で、CNOT6L mRNAがFGF21(hepatokine)mRNAの3’UTRにあるAU-rich配列に作用することを見いだした(未発表)。 4.CNOT3遺伝子を成体の肝、脂肪組織、胸腺T細胞、脳で条件的に欠失させ、それぞれ肝炎様の症状、脂肪萎縮症、自己免疫疾患、脳発達異常などが誘発されることを見いだした(未発表)。それらの組織でのmRNA発現を調べ、CNOT3欠損は組織毎に異なるmRNA種の発現を増大させていることを見いだした。 以上、CCR4-NOT複合体の個々のサブユニットが、組織特異的に標的mRNAを脱アデニル化する仕組みに関わっていることが示唆された。
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