研究概要 |
一次免疫が終焉した後、どのようなタイプのメモリーB細胞が生成されてくるのか、又、メモリーB細胞が亜集団に分類されるのか、更に、されるとしたら、それぞれの亜集団は、どのような機能的相違があるのかは、液性免疫記憶機構を考える上で必須の課題である。 申請者らは、NP-CGGをマウスにinjectionし、ハプテンであるNP抗原に対するメモリーB細胞を解析した。クラススイッチしたメモリーB細胞に関してはIgGl^+CD38^+というマーカーを指標に用いた。また、IgM^+細胞に関しては、外来性抗原に暴露されたB細胞はAIDが一過性に発現することを利用して、AID fate mappingマウスを用いて(AIDが発現すると始めてGFPを発光するマウス株)、IgM^+AID^+というマーカーを指標に用いた。 本年度、大きく3つの実験結果を得た。1)IgG1メモリー細胞は主として、胚中心(GC)周辺にクラスター状に存在するのに対し、IgMメモリーB細胞は濾胞全般にscatteringしている。この胚中心周辺に存在しているIgG1メモリーB細胞が、再度の抗原侵入(2次免疫)に際して迅速に反応し、増殖するようになった(Aiba et,a1 ; PNAS,2010)。2)生体の中での、IgM,IgG1メモリーB細胞はその寿命が異なる。3)IgGlメモリーB細胞はIgMメモリーB細胞に比べて、再度の抗原刺激により、より迅速にプラズマ細胞へ分化し、特異的抗原を産生するようになる。 このようにメモリーB細胞の中に、IgM,IgG1メモリーB細胞という、性質の異なる亜集団が存在し、協調的に液性免疫に関わっていることが示された。現在、更なる解析をおこなっているところである。
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