研究課題
一次免疫が終焉した後、どのようなタイプのメモリーB細胞が生成されてくるのか、又、メモリーB細胞が亜集団に分類されるのか、されるとしたら、それぞれの亜集団は、どのような機能的相違があるのかは、液性免疫記憶機構を考える上で必須の課題である。申請者らは、NP-CGGをマウスにinjectionし、ハプテンであるNP抗原に対するメモリーB細胞を解析した。先ず、この抗原injection系では、抗原刺激はうけたもののクラススイッチしていないIgMタイプのメモリーB細胞と、クラススイッチしたIgG1タイプのメモリーB細胞が主として作られる。IgG1タイプのメモリーB細胞はIgG1^+CD38^+というマーカーを指標に,又IgMタイプはCD273^+というマーカーを用いて単離し、機能検定を行なった。本年度、大きく3つの実験結果をえた。1)IgMメモリーB細胞は体突然変異を受けている各群(胚中心過程を経ている)と、受けていない分画の2種類が存在し、2次免疫反応の時には、主として、前者の分画が反応する。2)IgG1メモリーB細胞はナイーブB細胞に比べて、2次反応時に増殖反応が優位に高いと考えられていたが、そうではなく、むしろプラズマ細胞への分化反応が亢進している。3)2)の分子基盤としては、IgG1メモリーB細胞は転写因子Bach2がナイーブB細胞に比べて、その発現が低下しており、結果プラズマ細胞へのマスター転写因子Blimp1の迅速な上昇を引き起こすことができる。このように、1次反応と同様の抗原により、2次免疫反応が生じるとき、どの細胞が主として反応するのか。また、その性質はナイーブB細胞とどのように異なっているのかを明らかにすることができた。
2: おおむね順調に進展している
計画以上に進展しているパート(IgG1メモリーB細胞のユニークな機能を、担っている分子基盤等は、計画以上に進展している)と、やや遅れているパート(メモリーB細胞の分化過程を検定するために、作成中であるFate-mappingマウスの作成は、予想外のことが起こり、やや遅れている)が混在している。次項に述べる対策も既に講じており、全体的には、おおむね順調に進んでいる。
できるだけ早く遅れているパートの挽回を図る。事実、単純なfate-mapping方法は諦め、用いる遺伝子プロモーターをB lineageだけで発現するというようにdouble-regulationを講じ、その方法がうまくいくかどうかテスト中である。計画以上に進展しているパートは国際的にも高く評価されており、一層の充実を図っていく。
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