研究課題/領域番号 |
21229009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
千葉 勉 京都大学, 医学研究科, 教授 (30188487)
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研究分担者 |
木下 芳一 島根大学, 医学部, 教授 (30243306)
丸澤 宏之 京都大学, 医学研究科, 講師 (80324630)
渡邉 智裕 京都大学, 医学研究科, 助教 (40444468)
上田 佳秀 京都大学, 医学研究科, 講師 (90378662)
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キーワード | AID / 遺伝子変異 / Colitic cancer / 遺伝子不安定性 / 癌幹細胞 / メチル化 / APOBEC2 |
研究概要 |
炎症による消化器発癌におけるAIDの役割を解明する目的で検討をおこない下記の成果を得た。 1.ヒト食道上皮細胞を用いたin vitro実験において、GERDの病態に重要であるデオキシコール酸によってNFκBが活性化され、その結果AIDが発現誘導されること、さらにAID発現によって種々の遺伝子変異が蓄積されることが判明した。 2.IL10-KOマウスにAID-KOマウスを交配して、IL10-KO+AID-KOマウスを作成したところ、IL10-KOマウスのcolitic cancer発症はほぼ完全に抑制された。また同時に炎症粘膜における遺伝子変異の頻度も著明に減少した。 3.AIDが誘発する遺伝子変異の各臓器におけるパターンを次世代シーケンサーを用いて解析を開始したが、すでに各臓器においてターゲット遺伝子が大きくことなる事実が明らかとなってきた。 4.シトシンのメチル化とAIDによる遺伝子変異の関係を明らかにするために、次世代シーケンサーを用いて、メチル化領域とAIDによる変異導入領域の包括的な解析を開始した。 5.AIDと同じ遺伝子編集酵素、APOBEC2のTGマウスを作成したところ、NAT1,PTENなどの癌関連遺伝子のmRNAに変異が導入され、肝癌が高率に発症することを認めた。またin vitro実験で、APOBEC2の発現は、AID同様、TNFα刺激などによりNFκB特異的に生じることが判明した。 6.現在、組織幹細胞でのAID発現の意義解明を目指して、EpiCAM,LGR5遺伝子にAIDを挿入した幹細胞特異的AID発現マウスを作成中である。さらに、組織特異的なAID-KOを目指して、villin-AID-KOマウスも作成中である。
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