研究課題
炎症による消化器発癌におけるAIDの役割を解明する目的で検討をおこない下記の成果を得た。1)AIDをLgr5,villin,EpiCAM遺伝子に挿入した幹細胞特異的AID発現マウスを作成し、それぞれの発癌状況を検討した。その結果、これらのマウスでは、AID-TGマウスに比較して、消化管、肝臓特異的に発癌頻度が明らかに増加した。2)H.pylori胃炎粘膜、HCV肝炎組織、潰瘍性大腸炎腸粘膜の組織からDNAを抽出して、次世代シーケンサーにて、全exome解析、あるいは重要な癌関連遺伝子をピックアップしたシーケンシング、さらにCGH解析をおこなった。その結果、これらの炎症組織においては、正常組織に比較して高頻度に遺伝子変異、欠失などが蓄積していた。またその程度は、炎症の程度と良く相関していた。また癌患者と非癌患者の組織を比較したところ、癌患者の非癌組織で、より顕著に遺伝子変異、欠失が認められた。3)上記検討において、各臓器での遺伝子変異の集積パターンを見たところ、p53,CDKN2a-2b領域については、いずれの組織においても共通して、高頻度に遺伝子変異、あるいは遺伝子欠失が認められた。一方、胃粘膜においてはk-RASが、肝組織においてはc-MYCが、さらに腸粘膜においてはAPC変異の蓄積が特徴的であった。このことは、これらの変異が生じることが各臓器の癌の進展に関与することを示すとと同時に、遺伝子変異の入りやすさに各臓器で特異性があること、が各臓器の癌の遺伝子変異パターンを規定している可能性が示唆された。4)In vitro実験で、ヒトの胃癌、肝癌細胞へのAIDの導入によって、遺伝子変異の導入と、脱メチル化が同時に生じていることが予備実験で判明した。
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