研究課題
本研究の目的は、神経変性疾患の一群であるポリグルタミン病について、病態に根ざした根本的治療法を開発し、臨床応用することにより、本疾患の克服を目指すことである。具体的な治療法の開発手段として、1.患者皮膚由来のiPS細胞からニューロンに分化したモデル系を作成し、2.ユビキチン-プロテアゾーム系(UPS)を活性化する低分子化合物の探索・同定、3.分子シャペロン調節薬およびオートファジー誘導薬の開発と臨床応用、4.新たな病態関連分子の探索・同定と、その機能を調節する低分子化合物の開発を4つの柱とし、ポリグルタミン病の分子標的治療の開発を目的とした包括的研究を展開する。とくに3については、漢方薬(芍薬)の成分であるモノテルペン配糖体paeoniflorinについて、その有効性と安全性を解析し、ポリグルタミン病に共通した根本治療法の確立を目指す。本年度は、paeoniflorinを球脊髄性筋萎縮症(SBMA)のマウスモデルに投与し、その治療効果を解析するとともに、薬理機序について生化学的・病理学的解析を行った。その結果、paeoniflorinの投与によりSBMAマウスモデルの運動機能が改善し、脊髄・骨格筋における変異アンドロゲン受容体(AR)の蓄積が抑制されること、およびpaeoniflorinの投与により脊髄・骨格筋において、転写因子であるNF-Yの発現誘導を介して、オートファジーの制御因子であるTFEBや、熱ショックタンパク質・CHIPの発現が亢進し、それに伴い変異ARのモノマーの発現量が減少することが示された。以上より、paeoniflorinはオートファジー系とプロテアソーム系の双方を活性化することにより変異ARの分解を促進し、SBMAにおける運動ニューロン変性を抑制することが示された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
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