研究課題
Rac1-MR系活性化のトリガーとなるRac1活性化因子の検討を進めた。高血糖によるRac1活性化について培養メサンギウム細胞を用いて検討したところ、高血糖刺激によりRac1が活性化し、MR依存性遺伝子転写活性が増加することがわかった。変異Rac1遺伝子導入下では高血糖刺激によるMR転写活性は抑制された。2型糖尿病性腎症モデルマウスのKKAyにおいて腎Rac1-MR活性化を介して腎障害が生じ, Rac阻害薬やMR拮抗薬の介入により、著明なアルブミン尿の改善が見られた。以上から、高血糖がRac1活性化因子であり、糖尿病性腎症におけるRac1-MR系制御が糖尿病性腎症の新たなターゲットとなりうることが示された。また、培養心筋細胞の機械的伸展刺激がRac1を活性化することから、in vivo圧負荷心不全モデルとしてマウス胸部大動脈狭窄(TAC)の実験を行った。その結果、TAC処置心不全マウスの心臓では活性型Rac1の増加、またMRの核移行とMR関連遺伝子の発現増加がみられた。Rac1阻害薬やMR拮抗薬の投与はこれらを改善させ、心機能の改善が見られた。更に心筋特異的Rac1-KOマウスではTACによるRac1-MR活性化と心不全が軽減したことから、TACによる心不全の発症にRac1-MR系の関与が示唆された。さらに、慢性腎臓病患者を対象とした進めてきた二重盲検プラセボ臨床試験EVALUATE試験ではプラセボ群に比べてMR拮抗薬エプレレノン群において、有意なアルブミン減少効果が認められ本年度米国腎臓学会で発表した(Fujita T et al.2013年)。本研究は私達が動物実験において示してきた“MR活性化による腎障害“をヒトにおいて証明することが出来ただけでなく、MR拮抗薬が腎疾患治療に有用であることを示唆している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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