研究課題
本研究では、自己免疫性皮膚疾患である尋常性天疱瘡(PV)の標的抗原、デスモグレイン3(Dsg3)に対する中枢性および末梢性免疫寛容機構獲得機序を解析し、自己反応性T細胞の関与する病態を明らかにするとともに、免疫寛容に関わる皮膚樹状細胞の役割、および胸腺に代わる免疫制御臓器としての皮膚の新たな機能を解明することを目的としている。平成25年度は、5年計画の最終年度として、Dsg3反応性T細胞に対する末梢性免疫寛 容機構の解明に重点を置き検討した。Dsg3-/-マウス或いは野生型マウスの胸腺をヌードマウスに移植し、Dsg3-TCR H1 Tg-Rag2-/-(Dsg3-H1R)マウスから骨髄移植を行うと、Dsg3を発現しない胸腺を移植されたヌードマウスにおいては、 Dsg3-H1R T細胞は胸腺において除去されないものの、末梢においてほぼ消失しており、末梢免疫寛容機構の存在が確認された。また、蛍光ラベルしたDsg3-H1R T細胞を野生型に養子移植すると、移植14日後に末梢において分裂後除去されることが確認された。これらの二つの系を用いて、PD-1/PD-L1シグナル、Aireの関与を検討したが、ともに限定的の関与のみ認められた。ランゲルハンス細胞を除去した状態においても、Dsg3-H1R T細胞は末梢で消失し、ランゲルハンス細胞の直接的な関与も否定的であった。胸腺外Aire+細胞は、B6マウスの系統で検出することが困難であり最終確認に至っていない。次年度以降も引き続き末梢免疫寛容機構の解明が必要である。また、Dsg3-H1 T細胞をTh17細胞に分化誘導しRag2-/-マウスへ養子移入したところ、レシピエントマウスは乾癬様皮膚炎を呈し、ヒト乾癬と同様にIL-23, IL-17が病態形成に重要であることを示した。この結果から、乾癬の皮疹形成の早期に、表皮抗原に対する自己反応性Th17細胞が関与する可能性が示唆され、乾癬の病態解明に貢献した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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