研究課題
食道癌は難治であり治療成績向上のためには食道癌の発生進展および治療感受性に関わる因子を総合的俯瞰的に明らかにすることが重要である。特に注目すべき点は臨床的に食道癌が喫煙飲酒という発がん環境因子との密接に関連していることである。我々はこれまでの食道癌患者1071名健常者2762名を用いたGWAS解析の結果から4番染色体および12番染色体2カ所の領域が患者およびコントロールで著しい差を認めた。また同定されたSNPsはアルコール代謝に関与する遺伝子多型を同定。実際に飲酒と喫煙との交互作用により罹患危険度が396倍上昇することを示した。しかし具体的に多量飲酒喫煙患者の食道粘膜におけるゲノム変異については明らかにされていなかった。われわれは喫煙飲酒歴など疫学因子を有する食道癌59症例原発巣よりLaser microdissectionにて癌細胞のみを採取しゲノムDNAおよびmRNAを抽出。全エキソン変異解析アレイCGHによるゲノムコピー数変異解析そしてオリゴマイクロアレイによる発現遺伝子プロファイル解析を実施してデータベースを構築。スーパーコンピューターによる数理学的統合解析によりゲノム増幅や欠失を伴う遺伝子群を明らかにすることによりゲノム変異を起点とする食道発癌癌進展について解明している。結果としてTP53変異が最も数理学的にdamageの値が大きく変異頻度も高いことを改めて明らかにした。また20数個の変異遺伝子により全例の食道癌症例を網羅していた。遺伝子瀬戸別に列挙するとH3K4 specific methyl-transferase、ATP-dependent nucleosome remodeling、P53/cell cycle process、Notch signaling Terminal differentiation、TGFB signalingというセットにおいて変異遺伝子をrecurrentに認めた。また飲酒喫煙歴とゲノム変異発現遺伝子プロファイルとの関係については飲酒喫煙暴露症例において特異的に認められた変異スペクトラを明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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