トレッドミルは歩行による前進移動を打ち消す方式としては、最もよく知られており、アスレチックジム等でランニングマシンとして使われている。しかし、通常のトレッドミルは歩く方向を変えると、ベルトから落ちてしまう。これはトレッドミルが1次元の運動しかできないからである。したがって、歩行移動インタフェースとして用いるためには、2次元平面における任意の方向に動く床を作らなければならない。本研究では、前後だけでなく左右方向にも任意に歩けるようにした全方向トレッドミルの原理を用いる。これは多数のベルトコンベアを直交方向に数珠つなぎにすることによって、無限に続く2次元平面を提供する。その原理は、前後方向に歩くときは各ベルトが回転し、左右方向に歩くときは数珠つなぎになったベルト群が公転するものである。これらの組み合わせによって任意方向の歩行移動が打ち消される。 この方式の欠点は、装置が大型化することである。さらに、ベルトを数珠つなぎにした構造は、各ベルトがチェーンに固定されており、これを一旦組むと分解するのがほぼ不可能である。このことが本装置の運用の障害になっている。この問題を解決するために、本研究では駆動機構のモジュール化を行う。駆動モジュールは、各ベルトを自転させるユニットと、それらを公転させる無限軌道機構のユニットに分かれる。これらのユニットが容易に組み合う構造にすることによって、柔軟な運用が可能になる。平成21年度は、これらのユニットの設計を行った。
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