研究課題
人間にとって最も生得的な移動手段は足で歩くことである。人間が自分の周囲の空間を認識する場合に、歩いて移動するという行為は極めて重要な意味を持つ。観光地に行った時に、バスに乗って見せられたものと自分の足で見つけたものの印象が大きく異なるのは、誰もが持つ経験であろう。歩いたり走ったりすれば地面から抗力や衝撃を受ける。この現象は実世界における人間の生活シーンでは当たり前に発生するが、バーチャルな世界においてはほとんど実現されていないのが実状である。位置を変えずに歩行運動を可能にする装置のことを歩行移動インタフェースと称す。本研究は、未だに揺籃期にあるこの課題に対して、汎用的な解を与え共通の研究基盤を提供することを目的とする。本研究では、TorusTreadmillと呼ぶ14個のベルトを直交方向に数珠つなぎにして、前後左右の任意方向に無限に動く床を開発した。具体的な成果は以下の4項目である。[1] 全方向トレッドミル駆動機構のモジュール化:従来のものは、駆動機構を一度組むと分解がほぼ不可能な構造であった。これらの駆動機構をモジュール化することによって、小型化とスケーラブル化を実現した。[2] 歩行者の支持と歩行運動のセンシング:歩行者が転ばないようにするハーネスと、足や体幹の動きを計測する手法を開発した。[3] 全方向トレッドミルの駆動アルゴリズム:限られた可動床面積において、自然に歩行できる床の駆動方法を開発した。[4] 安全性・有効性のアセスメント:一般の被験者を対象に、本システムの安全性と有効性を確認した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Presence:Teleoperators and Virtual Environments
巻: Vol. 21, No. 1 ページ: 16-30