研究課題/領域番号 |
21240024
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
船橋 新太郎 京都大学, こころの未来研究センター, 教授 (00145830)
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研究分担者 |
山本 洋紀 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教 (10332727)
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キーワード | 前頭連合野 / 遂行機能 / 記憶想起 / トップ・ダウン制御 / 対連合学習課題 / 遅延見本合わせ課題 / 遅延期間活動 |
研究概要 |
前頭連合野は頭頂・側頭・後頭連合野と密接な相互連絡をもち、これらの連合野から様々な感覚情報を受け取ると同時に、これらの連合野に信号を送り、そこでの情報処理を制御していることが知られている。このような機能は遂行機能と呼ばれ、その実行においては、前頭連合野から出力されるトップ・ダウン制御信号が重要な働きをしている。前頭連合野がトップ・ダウン制御信号を生成して後部連合野に送り、そこで行われている情報処理を制御していることが明らかになっているが、前頭連合野で生成されるトップ・ダウン制御信号の実態や生成の仕組みは明らかではない。本研究では、長期記憶からの情報想起が必要な対連合学習課題を使用し、情報想起時に前頭連合野で生成される活動を解析することにより、トップ・ダウン制御信号を明らかにしようと試みた。サルに12対の視覚刺激を用いた対連合学習課題を行わせた。前頭連合野外側部より約230個の単一ニューロン活動を記録し、解析した。今年度は遅延期間活動を詳しく解析した結果、対連合学習課題実行時に下側頭葉で観察されているpair-recall活動と類似した活動が前頭連合野でも観察されること、前頭連合野で観察されるpair-recall活動の刺激対選択性は下側頭葉に比べ広いこと、また、特定の刺激対が呈示された試行で遅延期間中に持続的な活動をするニューロンが見出されること、などが明らかになった。これらの結果をもとに、Pair-recall活動の時間経過や対選択性の異同を下側頭葉における先行研究の結果と比較することにより、この活動がトップ・ダウン制御信号と考えられるかどうかのより詳細な検討を引き続き実施する。
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