研究課題/領域番号 |
21240034
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小泉 修一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (10280752)
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研究分担者 |
森山 芳則 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10150658)
篠崎 陽一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 講師 (10443772)
柴田 圭輔 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50580411)
繁冨 英治 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (00631061)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | アストロサイト / ミクログリア / ATP / グリア伝達物質 |
研究概要 |
静かな細胞と考えられていた脳内グリア細胞の動的な側面、特に「グリア伝達ATP」による情報発信、に焦点を当て、グリア依存的な脳機能制御様式の解明を行った。 1.VNUT-KO(遺伝子欠損)動物のATP放出能:VNUTは細胞内ATPを分泌小胞に取り込む装置であり、アストロサイトのATP放出に必須の分子であった。VNUT-KO動物を用いた解析により、アストロサイトのATP放出能が低下していること、これによる興奮性シナプス伝達抑制機能が低下していることを見出した。 2.ミクログリアのVNUT:前年までに、ATPを受容して種々の脳機能を制御しているミクログリアもまた、VNUTを発現していることを見出した。ミクログリアがATPをVNUT依存的に放出していること、さらにこのVNUT依存的ATP放出は、炎症及び外傷等の脳疾患時に特に顕著になることが明らかとなった。VNUT-KOミクログリアは、その遊走脳・貪食能で正常とは異なるフェノタイプを呈し、これらが種々の脳疾患の分子病態と関連する可能性が示唆された。 3.脳虚血とグリアのATP放出:VNUT-KO脳虚血に脆弱であった。通常では障害を誘発しないような、軽度な中大脳動脈閉塞モデルによっても、VNUT-KO動物では顕著な障害が認められた。これは、1で前述した、VNUT-KOの興奮性シナプス伝達抑制作用の低下、に起因していた。ATP/adenosine拮抗薬でも同様の効果は再現できた。この様に、アストロサイトのVNUT-ATPは、脳の安全装置装置として働き、種々の外傷・ストレスに対する抵抗性獲得に関与していることが示唆された。 以上、グリアのATP発信能が、自身の機能、ひいてはグリア-神経細胞連関に重要であること、さらにこれにより脳の情報処理・発信が制御されていることが明らかとなり、脳機能における「グリア伝達」の重要性が強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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