研究課題/領域番号 |
21240043
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
権藤 洋一 独立行政法人理化学研究所, 新規変異マウス研究開発チーム, チームリーダー (40225678)
|
研究分担者 |
福村 龍太郎 独立行政法人理化学研究所, 新規変異マウス研究開発チーム, 開発研究員 (90392240)
村田 卓也 独立行政法人理化学研究所, 新規変異マウス研究開発チーム, 開発研究員 (70305001)
牧野 茂 独立行政法人理化学研究所, 新規変異マウス研究開発チーム, 開発研究員 (30462732)
|
キーワード | ミュータジェネシス / 逆遺伝学 / 疾患モデル動物 / 突然変異体 / ゲノム機能 / ENU / 次世代シーケンシング / マウス遺伝学 |
研究概要 |
3千万の点突然変異をランダムに有するENU変異マウス1万系統のライブラリーから、次世代テクノロジーを駆使して高速に変異を検索する方法確立を目指している。本年度は、ゲノムの1%強を占めるタンパク質コーディング配列全領域に誘発された変異を検索できるシステムを計画2年目にしてすでに確立した。まずアジレントテクノロジー社との連携でマウスゲノムDNAから全コーディング配列49.6Mbを濃縮するシステムを確立した。次に、超高速シーケンサーAB SOLiD3plusを用いて解析した結果、1ゲノムから67変異を検出できた。また、再現性を4ゲノムで確認したところ、2ヶ月間で約219変異を検出できた。すなわち、1ゲノム当たり少なくとも50変異、年を通してこの解析に集中すれば24ゲノムから1200以上の変異を発見できる。年間当たり100変異ほど発見してきた従来法に比べ何と12倍も早く検出できるシステムを確立できた。この新しいシステムの確立により以下のような全く新しいモデル開発が可能となった。いままで国内外に提供してきた標的遺伝子に変異をもつマウス系統には、発見変異以外に数千の変異をどこかに有するため6世代の戻し交配を2年以上実施して除外したのち表現型解析を行っていたが、次世代シーケンサーでゲノム上50以上の変異を網羅できるようになったことで周囲の変異のなかで影響を及ぼす変異をも直接同定できるようになり、戻し交配が不要となった。すなわち戻し交配を不要とするので直ちに表現型解析が行えるうえ、いままで除外していた遺伝子間相互作用をもたらす変異さえも同定したモデルマウス開発が可能となったのである。この成果を2010年度日本遺伝学会で発表報告しベストペーパー賞を受賞した。超高速シーケンサーとそのインフォーマティクス基盤を確立したことで、RNAタグ解析に基づく大規模トランスクリプトーム解析も並行して進めている。
|