研究課題/領域番号 |
21240047
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山越 憲一 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40014310)
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研究分担者 |
田中 志信 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40242218)
野川 雅道 金沢大学, 機械工学系, 助教 (40292445)
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キーワード | 計測工学 / 医用生体工学 / 近赤外 / 血中成分 / レーザ / 光電容積脈波 / アルブミン / シミュレーション |
研究概要 |
本研究は、多波長で同時計測されたPPG(photoplethysmogram:光電脈波)を用いて、各種の血中成分の非侵襲計測法を開発することを最終目的とする。この最終目的を達成するために、以下の3つの小目的を置く。(1):多波長でのPPGの光学的機序を説明する数値モデルを構築する。(2):波長2.2μm付近までのレーザもしくはLEDを光源とした多波長PPG計測システムを構築し、各種血中成分の非侵襲計測を試みる。(3):本計測原理に基づく実用化を踏まえて、より少ない波長や計測を行う手法を開発・提案し、実用システム開発の礎を確立する。 本年度は、研究代表者のこれまでの研究成果を更に発展させるために、「数値モデル解析による計測理論の確立」、「2.2μm帯域への測定系の拡張と血糖以外の血中成分計測への展開」の検討を行った。 「数値モデル解析による計測理論の確立」については、多波長PPGの血中成分依存性を説明する理論・数値モデル構築を目指し、光拡散方程式を用いた数値解析、原子炉設計のための中性子輸送方程式の解析で用いられるDiffusion Accelerated法を用いた解析のための環境の整備を行った。また、これら解析法との併用のため、モンテカルロ法を用いたシミュレーションのためのソフトウェアの整備も行った。「広帯域近赤外瞬時分光測光システムの設計・試作開発」については、波長900-2200mmまでの帯域をカバーする多波長のPPG計測システムの開発のため、半導体レーザおよびLEDを用いた多波長脈波計測装置を設計・開発した。また、測定波長選定のため主たる血漿成分であるヒトアルブミン水溶液の吸光度のin vitro計測を試み、純水との差分吸光度計測法により、波長2100nm付近に大きな吸光ピークを認めた。これは、世界初の発見であり、非侵襲血中成分計測の確立において重要な知見と考えられた。
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