研究課題
低酸素ががんの治療不良や悪性化に結び付き、重要なバロメーターである事は、以前から認識されてきたが、生体内の組織における至適酸素濃度が組織細胞ごとに異なるために、早期の「病的低酸素」を感度良く検出する方法は無かった。本研究は、「病的低酸素」に応答して活性化する生理的変化を分子レベルで捉えるバイオイメージングプローブを開発し、がんを感度良くイメージングできる診断薬の創出を目的とする。具体的には、低酸素領域で特異的に活性化する転写因子HIFの活性をマーカーにして、がんの低酸素環境を可視化するPET/SPECTプローブの開発を行った。この3年間で、ヨウ素125標識したPETプロープと111In標識したSPECTプローブの構築、プローブの物性評価を行い、最終的に実験動物を用いてプローブ評価を行う事ができた。最終年度では、試作したPET/SPECTプローブをマウスモデルに投与して「病的低酸素への特異性を評価することで最適化を行い、目的であるPET/SPECTプローブを完成させた。当初の計画通り、一年目に近赤外蛍光色素を用いて標識された光イメージングプローブを用いて、細胞の酸素センサーにより制御される機能ドメインの最適化が終了している。この融合タンパク質POHに、2年目から放射性同位元素で標識することで、PETおよびSPECTプローブを作成し、最終年度では、これらを最適化してプローブとして完成させた。具体的には、放射性同位元素の標識は、機能ドメインをもった融合タンパク質POHに、放射線標識したハロタグリガンド(HL)を介した共有結合で行っているが、この標識法を確立することができた。PETプローブの場合は、ヨウ素125標識Halo Tagリガンド(1251-HL)をPOHに結合させて1251-HL-POHを作成したが、マウスを用いたインビボ動態評価では、腫瘍への放射能集積性は低く、投与後速やかに尿排泄され、生体内では不安定で代謝を受やすいことが示唆された。SPECTプローブの場合は、DOTA誘導体をHLに結合させ、111In標識したのち、POHに共有結合させて111In-DOTA-HL-POHを作成した。SPECTプローブでは、主要低酸素領域特異的なイメージが得られた。
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