研究課題
昨年度、我々は音源の三次元的方向を、非対称な反射板から入射した音波の速度ポテンシャルのインパルス応答を求めることによって一個のマイクロフォンで検出できる新デバイス「兎耳型マイクロフォン」(Bunny ear reflector microphone,BERM)を開発したが、今年度は、これをさらに高効率化した。すなわち、多数の無秩序な位置に穴を開けた受波開口部を持ったマイクロフォンに各々の穴から伝搬してきた音響波が構成するインパルス応答を再現する逆問題を解くことによって、音源の三次元位置をユニークに決定できるRandom Path Photophonic Sensor(RPPセンサ)に進化させた。この新技術の原理を検証する基礎実験を行なうとともに、これをフェライトナノ粒子の"励磁音響効果"に応用するため、ゲルファントム中に埋め込んだ標準音源に対する三次元位置を決定する実験を行なった。本研究計画には、励磁音響効果でセンチネルリンパ節のみならず癌病巣をも励磁音響効果で画像化するために用いる磁性ビーズの開発も含まれている。そこで我々は昨年度までに、"二段階リガンド法"によって粒径分布が鋭いフェライトビーズを作製する技術を開発したが、本年度は、この方法によって種々の粒径をもったクエン酸被覆フェライトビーズを作製し、粒径が20nmのときにマウスの一次リンパ節(センチネルリンパ節に相当する)に高い効率で集積するとともに、強い励磁音響信号を発することを見出した。また、二段階リガンド法で作製したフェライトビーズの表面にEGFをクロスリンカーで化学結合させ、このビーズがEGFR高発現がん細胞に選択的に集積し、従ってがん細胞の画像化に適していることを見出した。さらに、センチネルリンパ節を摘出後の生検で組織切片を染色する時間を、組織切片に電界を印加することによって大幅に短縮する技術を開発した。
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Acta Histochem Cytochem
巻: 44 ページ: 133-139
10.1267/ahc.11006