研究課題/領域番号 |
21240055
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中川 貴 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (70273589)
|
研究分担者 |
橘 政昭 東京医科大学, 医学部, 教授 (70129526)
大堀 理 東京医科大学, 医学部, 教授 (50203930)
半田 宏 東京工業大学, 統合研究院, 教授 (80107432)
上田 智章 東京工業大学, 統合研究院, 特任教授 (50456258)
山本 孝夫 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00174798)
|
キーワード | 磁気温熱療法 / 前立腺がん / 高周波磁場発生装置 / 密封小線源 / 生体内実験 / 自己温度制御夏熱体 / Ti針 / 高周波コイル |
研究概要 |
本申請は前立腺がんの密封小線源療法に供せられる線源およびシステムを温熱療法へ転用し、新たな前立腺がんの治療法を確立することを最終目標としている。最終目標を達成するために、本年度は大きく分けて、マウス実験用磁気温熱療法システムの構築、ヌードマウスに発症させたヒト前立腺がんの加温特性評価、磁気温熱療法用発熱素子の開発の3つの研究課題に取り組んだ。 マウス実験用磁気温熱療法システムの構築では、マウス全体に100~1000kHzの高周波磁場が照射できるよう直径7cmのコイルおよび電源を作製し、次に示す生体内での前立腺がん治療用密封小線源の高周波磁場照射加温実験を可能にした。ヌードマウスに発症させたヒト前立腺がんの加温特性評価では、ヒト前立腺がんを皮下に発症させたマウスの腫瘍部に、前立腺がん治療用密封小線源を模擬した純Ti針を挿入し、血流による放熱挙動の高い生体内でも治療効果の得られる43℃まで加温できるかどうかの評価を行った。この結果、腫瘍部1ccあたり1本のTiを挿入し、990kHz, 50 Oeの高周波磁場を印加すると、腫瘍部をハイパーサーミア治療温度まで加温できることを明らかにした。また、この結果は実際にヒトの治療を行う場合の磁場発生装置の設計の指針ともなる。磁気温熱療法用発熱素子の開発では、患部をある一定の温度に保つために、磁場を印加し続けても一定の温度以上に発熱しなくなる自己温度制御発熱体を開発した。この発熱体を用いると、温度のモニタリングなしに患部を一定の温度に保つことが可能である。また、磁場強度の分布がある状況でも、自己温度制御発熱体は温度分布を狭くすることができ、磁気温熱療法用発熱体として非常に有望であることを見いだした。
|