研究概要 |
平成22年度に引き続き,予備調査の臨床データの詳細なデータ解析を進め,登録疾患約300個の中から統計学的検定が可能な頻度の高い疾患について低分子化合物による診断アルゴリズムのきそとなり探索的統計解析を実施した.また喫煙,飲酒,食品嗜好,睡眠,運動などの生活習慣との呼気ガススペクトラムの特徴を検討した.呼気採取法を集団検診に対応可能な単純な終末呼気採取法も追加し,平成21年度倫理委員会承認を得た本研究課題の調査項目である「生体ガスのコホート調査」を本年度も継続して行った.これにより国立循環器病研究センター予防健診部コホート調査(吹田スタディ)に参加し,吹田市住民登録票から無作為抽出された年間検診者(成人)2000名が2年間に一度の検診を受けるシステムとなっており,その中から同意の得られる1000名(見込み)を対象に呼気分析のベースラインデータの収集を,初期断面調査データの集積開始し.以後,2年ごとに追跡調査(本申請期間中は2回)行う.このコホート調査では(1)「生体微量ガス成分中の代表的な低分子化合物により鑑別診断が可能である」,(2)「生体微量ガス成分スペクトラムにより種々の生活予測が可能である」といった仮説を検証している.本年度はさらに食品摂取,呼気水素ならびに抗酸化ストレス能の間の関連についても対比したところ,特に乳製品摂取後の呼気水素と抗酸化ストレス能力の間に有意な正相関をもつことが明らかになり,腸内醗酵に伴う水素には抗酸化ストレス作用があること分かった.
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