研究課題
本研究計画2年目の平成22年11月より国立循環器病研究センター倫理委員会の承認を得て,生体ガスの長期調査として予防健診部コホーと調査(吹田スタディ)に参加している.本調査は吹田市住民登録票から無作為抽出された年間検診者(成人)2000名が2年間に一度の検診を受けるシステムとなっており,その中から同意の得られる被験者を対象に呼気分析のベースラインデータの収集を開始し,コホート初期断面調査データを集積している.すでに得られた生体ガスに関する臨床データの詳細なデータ解析を進め,登録疾患の中から頻度の高い疾患をターゲットにして,さらに統計学的検定が可能な頻度の高い疾患に的を絞り,低分子ガス種による診断アルゴリズムの基礎となる探索的統計解析を実施した.呼気採取法を集団検診に対応可能な終末呼気採取法を息こらえの有無による終末呼気採取法を追加項目に入れた.平成24年度は引き続き初期断面調査を進めた.このコホート調査では「生体微量ガス成分中の代表的な低分子化合物により鑑別診断が可能である」,「生体微量ガス成分スペクトラムにより種々の生活予測が可能である」といった仮説を検証することを目的しており,個別ガス成分に焦点をあて,特に呼気水素計測が生体内の活性酸素種の間接的な計測法として用いることができることを明らかにした.さらにこの結果を裏付けるため,ラットを用いた動物試験も実施し,ヒトと同様に外因性または内因性水素が活性酸素を消去する可能性があることを実証した.
2: おおむね順調に進展している
コホート調査は順調に進み,生体ガスならびに関連する臨床データの蓄積が順調に行われている.またこれに平行して実施した生体ガスのうち低分子ガス関連の臨床的意義が明確になりつつあり,論文発表やや特許出願などの成果も順調に達成されたと考える.
これまでに集積した臨床データをもとに臨床試験成果をまとめ,種々の統計的解析を行い,生活習慣病の中でも特に重要と考えられる代表的疾患高脂の呼気による診断的中率のための重要な臨床項目を抽出し,呼気診断のための最適な解析法を決定し成果をまとめる.さらに生体ガスの長期コホート臨床試験の継続展開に繋げる.
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