研究課題
奈良市の自然共生住宅地での住居の実測調査では、周辺の自然環境により夏期の最高気温が抑えられている事で環境共生的な住まい方が可能であることを示唆し、住環境形成に及ぼすさまざまな影響について検討した。また、真菌濃度測定および菌種の同定を行い、傾斜地を利用した地下空間は、開口部が小さく日射の侵入が抑えられている場合に恒湿性が高く、多くの住宅で除湿機を使用し湿度上昇を抑制していたが、壁面の低い位置など表面温度が低い場所で菌数が多かった。また、山形における積雪地の8軒の住宅において、夏季の温熱環境の実測、ならびに、高齢者の歩行テスト・睡眠調査を実施した。冷房使用は家族に任されおり、高齢者の居間や寝室は26℃~31.5℃の範囲にあり、歩行テストは冬季よりも良好であった。空気環境に関する実測調査では、単身者居室におけるホルムアルデヒド・VOC濃度、真菌濃度の測定および生活調査を実施し、収納内の濃度が高く家具類の低減化対策が望まれることや真菌量にはばらつきが大きいことが明名になった。また、臭い環境について居住者は自宅のにおいの評価において、嗅覚パネルとは大きく異なる評価をすることが明らかとなっている。この評価の差が、自宅のにおいに慣れたことによるものであるのか、自宅は無臭であるという思い込みによるものであるのかを検討するため、20件の住宅のにおいのレベルを測定し、そのにおいの臭気強度、快・不快度を嗅覚パネルと居住者により、におい袋法を用いて評価させた個人差に関する実験では、夏期に、女子大生を対象に、省エネ及び快適性の両方を考慮して気流と気温の組み合わせを検討する実験及び実態調査と、暑くも寒くもない気温検討実験を実施した。省エネを考慮すると快適条件より気温は高く、気流は速く、SET^*で26.8℃となった。また、冷房を想定した室温低下実験では、高齢者は青年に比べ、室温低下による申告が曖昧であること明らかになった。
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